一部週刊誌等に関する報道について
2025.10.02
2025.10.02
一部週刊誌等において報道されている弊機構の事業内容について、弊機構の見解を一問一答形式で説明致します。
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Q1:
エチオピアの「TICAD産業人材育成センター」は、利用率が非常に低いというのは事実ですか。また、同センターでは、年間約5万人の研修が計画されていたとのことであるが、事実ですか。
A:
エチオピアの「TICAD産業人材育成センター」は、日本の無償資金協力により建設された施設で2023年8月に完工しました。
本案件は、日本をモデルとする「カイゼン」活動の実施機関であるエチオピアカイゼン機構の機能強化に貢献するため、同センターにおける研修と地方における研修を組み合わせた事業です。
このうち同センターにおける研修については、完工から3年後に研修生の数を年間660人とすることを目標とし、2024年には目標を上回る年間900人の研修が行われており、利用率が低いことはありません。
加えて、同センターは、こうした研修に加え、カイゼン運動普及のためのイベント等でも利用されており、利用者の大半が会議利用ということはありません。
また、本案件では、センターにおける研修と地方における研修の合計人数について、事業完成から3年後に50,600人とすることを目標としています。
このうち、地方における研修については、治安悪化のために一部の地方において予定していた研修を実施できていませんが、完成から1年後の2024年時点での地方実施分を含めた研修実績は、約10,900人となっています。
講義の様子(2025年5月)
カイゼン道場研修の様子(2025年5月)
カイゼン道場研修の様子(2024年12月)
Q2:
エチオピア観光省に供与されたVRグラスのコンテンツは1個しかないようですが、当初から需要はあったのでしょうか。
A:
VRグラスは、エチオピア観光省からの要請に基づき、同省が所有していないことを事前に確認の上で供与されたものです。
また、VRグラスのコンテンツが1個であることは事実ですが、このコンテンツは、エチオピア観光省の要請に基づき、エチオピア国内の観光名所を高画質の360度画像で紹介するものです。
VRグラスは、同省がアディスアベバ空港に建設中のビジターセンターで一般公開する計画であり、現在も国際見本市でプロモーションに活用されるなど、観光振興のために有効活用されています。
Q3:
過去にJICAが供与した日本製工作機械がエチオピア政府の関連組織の木工場において放置され、メンテナンスされずに稼働していないというのは事実ですか。
A:
この工作機械は、1990年代にJICAが供与したものであり、現在、供与先の木工場が管理しています。
日本では、一般に機械・装置の耐用年数は用途等に応じ10年程度とされていますが、本件機材は、供与から約30年が経過しています。
Q4:
JICAによる無償資金協力や物資供与は、「やりっ放し」であり、JICAは「無責任体質」なのではないでしょうか。
A:
一般論として、無償資金協力の実施に当たっては、プロジェクト目標の有効性や持続性を確保するため、計画段階で先方実施機関が機材を適切に運用・維持管理できるよう体制を確認しています。また機材等の引き渡し後も、定期的に事後モニタリングを行い、運用状況を把握する取組を行い、フォローアップに努めています。
Q5:
JICAの「民間連携事業」において、民間企業が応募する際にJICAが指定している「認定企業」を使わないと合格できない、また採択された企業は、JICAから支払われる委託費の4割を「認定企業」に対して支払わされているというのは事実ですか。
A:
JICAの民間連携事業の一つである「中小企業・SDGsビジネス支援事業」について、制度発足以降今日に至るまで、御指摘の「認定企業」というものは存在せず、特定企業との契約をJICAの採択の条件とするルールはございません。
また、採択された企業が、JICAから支払われる委託費の4割を何らかの企業に支払わなければならない制度やルールはありません。
2023年度までは、応募企業が必要に応じて自社でコンサルタントを選定・利用していました。
2024年度からは、手続きを簡素化させるため、新制度に変更となり、採択後に企業が利用するコンサルタントは、JICAが公示を行い、企画競争を経て公正に選定されており、制度上、このコンサルタントを応募する際に利用することはありません。
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引き続き、JICAは、国際協力を担う公的な機関として事業の効果を高め、現地の経済開発に貢献するとともに、その成果が世界の日本に対する信頼の強化につながるよう、尽力してまいります。
そしてその取り組みや成果をわかりやすくお伝えし、国民の皆さまのご理解を得られよう努めてまいります。
以上
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