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日ASEAN技術協力協定に基づくASEAN向け研修「港湾戦略運営」を実施:ASEAN各国の戦略的な港湾行政・運営管理の能力向上に貢献

2020.12.15

国際協力機構(JICA)は、2019年5月に締結された日ASEAN技術協力協定(*)に基づくASEAN向け研修として、11月12日~12月15日の間「ASEAN港湾戦略運営」をオンライン形式で実施しました。ASEAN諸国から、港湾建設のエンジニア、航路の技術担当者等多岐にわたる7名(ラオス2名、ミャンマー1名、フィリピン1名、タイ1名、ベトナム2名)が参加しました。

2019年6月、ASEANは、法の支配、開放性、自由、透明性、包摂性等を行動原理として謳う「インド太平洋に関するアセアン・アウトルック(AOIP)」を採択しました。AOIPは、我が国が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と多くの本質的な共通点を有していることから、日本としても強く支持しています。本年11月の第23回日ASEAN首脳会議では、「AOIP協力についての第23回日ASEAN首脳会議共同声明」が発出され、AOIPの主要4分野に沿って具体的な協力案件を実施していくことを日ASEAN首脳間で確認したところです。

研修風景

研修閉講式

本研修は、ASEAN各国の戦略的な港湾行政・運営管理の能力向上を図るもので、AOIPの主要分野の一つである海洋協力の推進に資するものです。本件は、外務省国際協力局及び国土交通省港湾局の協力を得て、対ASEAN協力の政策的かつ外交上の重要性を踏まえて実現しました。

ASEAN地域では、臨海地域を総合的に開発して産業競争力を強化する必要性から、各国で戦略的な港湾開発が進められており、その推進のため、港湾行政・運営管理能力の向上が課題です。

本研修では、日本の専門家から、日本及び諸外国の取組みや政策・制度を学びつつ、港湾政策の立案や戦略的な開発計画(マスタープラン)作成についての理解を深め、港湾行政・運営管理に関する知識を習得しました。また、得られた知識を活用し、自国での活動計画を作成して参加者間での情報交換・意見交換を行いました。

タイから参加したグエン氏は、「自国ではラノン港の需要予測を任されており、本研修を通じて作成した活動計画に基づき需要予測を行いたい」と語っています。

本研修は今後も引き続き行われ、次回は2021年7月以降、日本及びタイに参加者が集まり、港湾の現地視察が予定されています。日本で港湾開発やその運営・戦略を学び、タイでは日本の協力による港湾開発及び日本資本による臨海部開発を学びます。一連の研修を通じて、参加者間で情報交換・意見交換が継続され、日本とASEAN諸国との結束と連帯がより強化されることが期待されます。

JICAは、今後もASEANとの連携強化を行い、多様なニーズに応じた人材育成・能力強化に取り組み、彼らのパートナーとして国際的な課題解決をともに目指します。なお、本年度はASEAN向け研修として、「アジアにおける持続的な物流システムの構築」及び「海洋ごみ対策のための廃棄物管理」も実施の予定です。

(*)日ASEAN技術協力協定は、共同体としてのASEANに対する技術協力(専門家及び調査団のASEANへの派遣、ASEANからの研修員の受入れ等)を定めたもの。同協定の署名により、これまでの二国間協力の枠組みでは対応できなかったASEAN共同体及びその関連機関を直接の対象として、ASEAN構成10ヶ国の統一的な制度設計や基準等の形成支援を行うことが可能となった。

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