インドネシア向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:気候変動対策に資する森林・泥炭地の管理能力を強化
2023.09.25
国際協力機構(JICA)は、9月22日、ジャカルタにて、インドネシア共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「気候変動LULUCFセクター緩和プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)において、LULUCF(Land Use, Land-Use Change and Forestry(土地利用、土地利用変化及び林業))セクターの温室効果ガス(GHG)排出削減効果及び保全によるGHG吸収量増大が地球温暖化防止に貢献すると着目されています。インドネシアは陸地面積の約53%に相当する9400万haの森林資源を保有し、ブラジル、コンゴ民主共和国に次ぐ世界第3位の熱帯林保有国です。同時に巨大な炭素貯蔵庫と呼ばれる最大の熱帯泥炭地保有国であり、世界全体の泥炭地の約36%を保有しているとされています。しかしながら、1970年代前半から森林開発、木材生産等が増加してきた結果、顕著な森林減少、鉱業の進展や農業・プランテーションへの土地転用、森林火災、違法伐採等により、森林率は、1990年の約62%から2015年の約53%へと減少しました。こうした森林伐採、プランテーション開発等は熱帯泥炭地の乾燥を促し、大規模な森林火災の発生及び泥炭分解が進むことによりGHGが大量に放出され、環境面でも問題となっています。
本案件は、インドネシアにおいて、泥炭地からのGHG排出量モニタリングの方法論および持続的な泥炭地利用に資する低炭素技術の方法論、準国/州レベルのREDD+(注1)コンポーネントの開発とこれら方法論の適用、さらにLULUCFセクターにおけるGHGインベントリ及びMRV(Monitoring, Reporting, Verification(温室効果ガス排出量の)測定、報告及び検証)の政策策定・実施の促進を行います。これらにより、気候変動緩和に資する持続的な土地管理能力の強化を図り、もって同国のLULUCFセクターにおけるNDC (温室効果ガスの排出削減目標として「国が決定する貢献」)目標達成に向けた取組を加速させるものです。また、SDGゴール13(気候変動に具体的な対策を)及びゴール15(陸の豊かさも守ろう)への達成に貢献します。
(注1)REDD+:Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation(途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、+(plus)にて、森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強も含む)
署名式の様子
案件の詳細は以下のとおりです。
国名 | インドネシア共和国 |
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案件名 | 気候変動LULUCFセクター緩和プロジェクト |
実施予定期間 | 36ヵ月 |
実施機関 | 環境林業省気候変動総局 |
対象地域 | インドネシアの泥炭地及び南スマトラ州(一部成果) |
具体的事業内容(予定) | LULUCFセクターにおけるNDC達成のために、気候変動緩和に資する持続的土地管理の能力強化を目指し、国および準国/州レベルでLULUCFセクターのGHGインベントリ及びMRV支援の政策と能力強化の促進、泥炭地からのGHG排出量にかかるモニタリングシステムの開発、環境や生態系へのリスクを減少するとともに経済発展が促進されるグリーン経済の促進、準国/州レベルでのREDD +の構築を行う。 |
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