イラク向け円借款貸付契約の調印:上水道施設建設を通じ、水道サービスの改善・両国関係の強化に貢献

2023.12.25
国際協力機構(JICA)は、12月24日、バグダッドにて、イラク共和国政府との間で、「サマーワ上水道整備事業」を対象として452億9800万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。
本事業は、ムサンナ県サマーワ市において淡水化施設を含む上水道施設を建設することにより、給水量・水質・給水時間の向上及び水資源の有効利用を図り、もって同市の安定した飲料水供給及び経済的・社会的発展の促進を図るものです。
署名式の様子
プロジェクト対象地であるサマーワ市は、イラク戦争後の2004年より陸上自衛隊が派遣され復興支援活動を実施した地であり、2024年は自衛隊派遣後20年となります。自衛隊の活動終了後も、JICAの円借款による橋梁の建設等様々な協力が行われてきました。
一方で、イラク全土では度重なる戦争や治安の悪化等により、上水道施設の更新・維持管理が十分に行われず水質及び給水率の低下を招き、人々の生活の質は著しく低下しています。サマーワ市はムサンナ県の県都であるにもかかわらず市内に大規模な浄水場がなく、市外の浄水施設からの給水に大きく依存しています。また、市外の浄水場の能力低下や送水時の漏水などによって、十分な給水量を確保できず、住民の水需要を満たせていません。また、同市周辺のユーフラテス川は、気候変動の影響により降雨量が減少しており、それによりペルシャ湾からの海水の流入等の影響で塩分濃度が極めて高くなっているため、飲料水として利用するためには淡水化が必要となっています。
このような状況を踏まえ、ムサンナ県サマーワ市において淡水化施設を含む上水道施設及び送水管の布設し、給水量・水質・給水時間の向上及び水資源の有効利用を図ります。同市おける上水サービス水準の改善することで、SDGs ゴール 6 (安全な水とトイレを世界中に)に貢献します。本事業を通じて、安定した飲料水供給及び経済的・社会的発展の促進が期待されます。
事業の詳細は以下のとおりです。
案件名 | 借款金額 (百万円) |
金利(%/年) | 償還期間 (年) |
据置期間 (年) |
調達条件 | |
---|---|---|---|---|---|---|
本体 | コンサルティング・サービス | |||||
サマーワ上水道整備事業 (Samawah Water Supply Improvement Project) |
45,298 | TORF +100bp |
0.2% | 25 | 7 | 一般アンタイド |
イラク建設・住宅・地方自治・公共事業省(Ministry of Construction, Housing, Municipalities and Public Works:MCHMPW)
住所: MCHMPW building, Baghdad, Republic of Iraq
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