ナイジェリア「気候変動対策支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):海外投融資初のサブ・サハラ地域の民間金融機関への融資を通じ、気候変動対策に貢献
2024.02.06
国際協力機構(JICA)は、2023年11月15日、ナイジェリア連邦共和国のAccess Bank Plc(Access Bank)との間で、ナイジェリアにおける気候変動対策に貢献するため、7,500万米ドルを上限とする融資契約に調印し、2024年2月5日に調印式典を行いました。本事業は米国国際開発金融公社(USDFC)及びシティグループとの協調融資として実施します。(注)また、本事業は、サブ・サハラ地域の民間金融機関に対する初めての海外投融資案件です。
ナイジェリア政府は2016年パリ協定に署名、翌2017年に批准し、2030年までに国が達成すべき温室効果ガス(GHG)削減目標を定め、気候変動対策への取り組みについて民間セクターの関与を促進する等、気候変動対策への取り組みを強化しています。
しかしながら、上記の2030年までのGHG削減目標を達成するためには、2021年から2030年までの間に1,770億ドルもの投資が必要とされており、公共投資だけでは到底賄えず、開発機関からの支援や民間セクター資金を活用する必要があるとされています。また、ナイジェリア政府は農業、エネルギー分野を中心とする気候変動対策事業促進のため、広く国内外より民間資金を動員する方針を掲げています。
署名調印式の様子
署名調印式の様子(左から順に米国大使館、シティグループ、Access Bank、日本大使館、JICAからの出席者)
融資先であるAccess Bankは、ナイジェリアの最大手商業銀行であり、国際基準に基づく環境ガイドラインを策定し、グリーンボンド発行で調達した資金をGHG削減に資する事業へ融資するなど、国内随一の民間企業とのネットワークを通じて、気候変動対策に資する融資を促進しています。本事業でJICAが行う融資は、ナイジェリアの再エネ及び省エネ関連事業及び気候変動対策に資する農業事業に充てられます。
本事業は、Access Bankへ融資を行うことにより、気候変動対策に資する省エネ・再エネ・農業関連事業を担う民間事業者への資金供給を図り、もって同国の気候変動の緩和と適応推進に寄与するもので、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール2(食糧安全保障)、7(クリーンエネルギーへのアクセス)、13(気候変動への対処)及び17(パートナーシップ)に貢献します。また、本事業は2023年5月に岸田総理大臣がG7グローバル・インフラ投資パートナーシップに関するサイドイベントで設置を表明した「気候変動対策促進ファシリティ(ACCESS)」及び「食料安全保障対応ファシリティ(SAFE)」にも合致します。
(注)USDFC及びシティグループの融資金は気候変動対策に資する事業には限定せず、広く中小零細企業に対するサブプロジェクトに転貸されます。
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