インド向け円借款貸付契約の調印:インドのSDGs達成への協力を通じ、日印両国の関係深化と相互裨益に貢献
2024.02.20
国際協力機構(JICA)は、2月20日、デリーにて、インド共和国政府との間で9事業、総額2,322億900万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。
今回調印した円借款貸付契約が対象とする事業は以下の9件です。
署名式の様子
各事業の詳細は以下のとおりです。
本事業は、インド南部テランガナ州において、起業家や中小零細企業向けの能力強化、インフラ整備、事業化支援、事業・市場創出等に係る支援及び実施機関の能力強化を行うことにより、女性や地方住民等を含む起業家の発掘や、起業の促進、並びに企業の事業拡大の促進を図り、もって同州の包摂的な雇用機会創出及び持続的な産業発展等に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール8及び9に貢献することが期待されます。
テランガナ州情報技術・電子・コミュニケーション局(英語名称:Information Technology, Electronics and Communications Department, Government of Telangana)
実施機関URL:https://telangana.gov.in/departments/information-technology-electronics-and-communications/
本事業は、インド南部タミル・ナド州チェンナイ都市圏において、周辺環状道路の一区間となる区間5を新設し、区間2~5において高度道路交通システム(ITS)を導入することにより、急増する道路交通需要への対応や交通渋滞の緩和及び州南部への接続強化を図り、もって同都市圏の経済発展に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール3、ゴール8及びゴール9に貢献することが期待されます。
タミル・ナド州高速道路・港湾局(英語名称:Highways and Minor Ports Department, Government of Tamil Nadu)
実施機関URL:https://www.tn.gov.in/department/13
本事業は、インド北東部のメガラヤ州においてプルバリからゴエラグレまでを結ぶ国道127B号線の整備を行うことにより、同地域内及び国内外の他地域との連結性向上を図り、もって同地域の経済発展の促進に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール3、ゴール8、ゴール9およびゴール13に貢献することが期待されます。
メガラヤ州公共事業局(英語名称:Meghalaya Public Works Department)
実施機関URL:https://megpwd.gov.in/
本事業はインド北東部において、アッサム州ドゥブリとメガラヤ州プルバリの間のブラマプトラ川に総延長約20kmの橋梁を建設することにより、同河川に分断されている国道127Bの両岸を接続することで、同地域の域内外との連結性向上を図り、もって同地域内外の経済発展の促進に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール8及びゴール9に貢献することが期待されます。
国道インフラ開発公社(英語名称:National Highways and Infrastructure Development Corporation Limited)
実施機関URL:https://nhidcl.com/
本事業は、インド北部ウッタラカンド州において、山岳地・遠隔地を含む十分な飲料水にアクセスができない地域の上水道施設の整備を行うことにより、同地域への安定的な上水道サービスの提供を図り、もって同地域住民の生活環境の改善や気候変動への適応に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール3、ゴール6及びゴール13に貢献することが期待されます。
ウッタラカンド州政府水衛生局(英語名称:Department of Drinking Water and Sanitation, Government of Uttarakhand)
実施機関URL:https://swsm.uk.gov.in/
ウッタラカンド州水道公社(英語名称:Uttarakhand Peyjal Sansadhan Vikas Evam Nirman Nigam)
実施機関URL:https://peyjal.uk.gov.in/
本事業は、インド北部ハリヤナ州において、果樹や野菜等の園芸作物の多様化支援、バリューチェーン振興のための施設整備・能力強化等を行うことにより、持続可能な農業の推進及び園芸作物の販売促進による対象農家の所得向上を図り、もって同州の社会経済発展に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール1、ゴール2、ゴール8及びゴール13に貢献することが期待されます。
ハリヤナ州園芸局(英語名称:Department of Horticulture, Government of Haryana)
実施機関URL: https://hortharyana.gov.in/en
本事業は、インド北部ラジャスタン州において、森林保全、生物多様性の保全・再生活動、そのために必要な生計向上活動、州森林局の組織体制強化等を通じて、気候変動対策(適応策・緩和策)の推進や生態系サービスの向上を図り、もって同州の持続可能な社会経済発展に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール1、ゴール5、ゴール13及びゴール15に貢献することが期待されます。
ラジャスタン州森林局(英語名称: Rajasthan Forest Department, Government of Rajasthan)
実施機関URL:https://forest.rajasthan.gov.in/content/raj/forest/en/home.html#
本事業は、インド北東部ナガランド州のコヒマにおいて、医科大学病院の整備及び臨床教育を通じた医療人材の育成体制強化等により、州内の三次医療サービス提供体制の構築を図り、もって同地域のUHC(注1)の推進に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール3に貢献することが期待されます。
(注1)Universal Health Coverageの略。すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられることを意味します。
ナガランド州政府保健福祉局(英語名称:Department of Health and Family Welfare, Nagaland)
実施機関URL:https://nagahealth.nagaland.gov.in/
本事業は、貨物専用鉄道の計画区間であるデリー~ムンバイ間及びルディアナ~デリー~ソンナガル間のうち、特に整備優先度が高いとされるグジャラート州、ラジャスタン州及びハリヤナ州の主要都市を結ぶ新線を建設し、全自動信号・通信システム及び高出力かつ高速の機関車を導入することにより、今後高い成長率が見込まれる貨物輸送需要への対応及び物流ネットワークの効率化を図り、もってインド国内の広範な経済発展に寄与するものです。本事業を通じ、SDGsのゴール8、ゴール9、ゴール11及びゴール13に貢献することが期待されます。
なお、本事業に対する円借款には本邦技術活用条件(STEP)(注2)が適用され、本事業で整備される、軌道、信号・通信等のコンポーネントには日本の技術が活用される予定です。
インド鉄道省(英語名称:Ministry of Railways)
実施機関URL:https://indianrailways.gov.in/
貨物専用鉄公社(英語名称:Dedicated Freight Corridor Corporation of India Limited (DFCCIL))
実施機関URL:https://dfccil.com/
案件名 | 借款金額 (百万円) |
金利(%/年) | 償還期間 (年) |
据置期間 (年) |
調達条件 | |
---|---|---|---|---|---|---|
本体 | コンサルティング・サービス | |||||
テランガナ州における起業・イノベーション促進事業 | 23,697 | 1.80 | 0.20 | 30 | 10 |
一般アンタイド |
チェンナイ周辺環状道路建設事業(フェーズ 2) | 498,47 | 1.80 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
北東州道路網連結性改善事業(フェーズ 7) | 15,561 | 1.80 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
北東州道路網連結性改善事業(フェーズ3)(第二期) | 34,537 | 1.80 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
ウッタラカンド州における都市上水道整備事業 | 16,211 | 1.80 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
ハリヤナ州における持続可能な園芸農業推進事業(第一期) | 16,215 | 1.45 | 0.20 | 20 | 6 | 一般アンタイド |
ラジャスタン州における気候変動対策及び生態系から得られる利益向上事業 | 26,133 | 1.60 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
ナガランド州コヒマ医科学研究機関付属医科大学病院設立事業 | 10,008 | 1.60 | 0.20 | 30 | 10 | 一般アンタイド |
貨物専用鉄道建設事業(フェーズ1)(第五期) | 40,000 | 0.30 | 0.20 | 40 | 10 | STEP |
(注2)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者は、本邦企業、海外に存する本邦企業の子会社、本邦企業と借入国との共同企業体(JV。本邦企業がリードパートナー)のいずれかであることが必要。また、一定の条件下において、本邦企業と本邦企業の持分法適用会社とのJV(本邦企業がリードパートナー)も主契約者となることが可能。
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