インド「地方金融アクセス改善事業」に対する融資契約の調印(海外投融資): インド地方部への金融アクセス改善に貢献

#1 貧困をなくそう
SDGs
#5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.03.14

国際協力機構(JICA)は、2023年12月22日、インドの金融機関L&T Finance Holdings Limited(LFH)との間で、貧困州(注1)における金融アクセス改善を図るため、125百万米ドルを限度とする融資契約を調印し、2024年3月12日に調印式典をインドのムンバイにて実施しました。本事業は、アジア開発銀行(ADB)との協調融資として実施し、ADBは上限125百万米ドルの融資契約を調印しています。

インドの地方部には全人口の約65%が居住し、GDPの46%を占めるなど、インドの経済成長を支えています。しかし、住民の所得水準は低く、インド全体の貧困層の約90%が地方部に居住すると言われる中、新型コロナウイルス感染症の流行後は、さらに収入増加率が落ち込み、地方部における貧困削減は喫緊の課題となっています。

JICAインド事務所長 斎藤(左)とLFHのCFO

JICAインド事務所長 斎藤(左)とLFHのCFO

署名式参列者(LFH、ADB、JICA)

署名式参列者(LFH、ADB、JICA)

また、地方部では女性、中小零細企業、農業従事者等の貧困層の金融アクセスも大きな課題です。たとえば、女性が経営する中小零細企業は、借入金の90%以上が法的な手続きを行っていない企業からの借入であり、不法な借金取り立て等のリスクを負っています。また、小規模農家の約70%が銀行口座を保有していないと言われ、資金の借り入れ等も容易でないことから、設備投資等が進まず、生産性の向上を妨げています。そのため近年では、インド政府および中央銀行は地方部を中心とした社会的脆弱層への融資の促進を図っています。

融資先のLFHは、同国有数の金融機関の一つであり、地方部に多くの拠点を有する強みを活かして、貧困州での貸付の強化を図っています。本事業は、LFHを通じてインドの貧困州の女性事業者、農業従事者、中小零細事業者等への融資を行うことで、同国における地方格差是正及び持続的な経済発展に寄与するものであり、SDGsゴール1(貧困をなくそう)、ゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)及びゴール17(パートナシップで目標を達成しよう)に貢献します。

なお、本融資額の40%は女性事業者に対する融資に充てており、G7の開発金融機関が取り組む女性の経済的エンパワメントのためのイニシアティブである「2Xチャレンジ: 女性のためのファイナンス」(注2)にも貢献します。加えて、本事業は2023年5月に創設された金融包摂促進ファシリティ(FAFI)(注3)の取り組みとして位置づけられています。

(注1)貧困率が10%を超えているアッサム州、ビハール州、チャッティースガル州、ジャールカンド州、マディヤ・プラデーシュ州、オリッサ州、ラージャスターン州、トリプラ州、ウッタル・プラデーシュ州、西ベンガル州の10州のことを指します。

(注2)「2X Challenge: Financing for Women(2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス)」:2018年6月のG7にてJICAを含む各国の開発金融機関が採択したイニシアティブ。女性の経済的エンパワーメントに資する案件に対して2020年までに30億米ドルの資金動員を図ることを掲げ、その倍以上である70億米ドルが動員されました。2021年には同取り組みを更に拡大すべく、2021年から22年の2年間で150億米ドルの資金動員を図る目標を設定しました。2Xは女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。

(注3)Facility for Accelerating Financial Inclusion。官民のインフラ投資を通じてパートナー国の持続可能な開発に貢献する目的で創設された枠組み。(詳細は関連リンク参照)

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