ブラジル「農業セクター支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資) :農業セクター及び中小零細事業者の金融アクセス改善に貢献

#1 貧困をなくそう
SDGs
#2 飢餓をゼロに
SDGs
#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs

2024.05.07

国際協力機構(JICA)は、5月1日、ブラジルの金融機関Banco Cooperativo Sicredi S.A.(以下、Sicredi銀行)との間で、農業セクター支援のため1億米ドルを上限とする融資契約に調印しました。

本事業は、5月3日に実施された日・ブラジル首脳会談後に発表された日・ブラジル首脳共同声明「日・ブラジル戦略的グローバル・パートナーシップの更なる強化に関する共同声明」において、調印を歓迎する旨が言及されています。

農業はブラジルのGDPの約27%(2020年時点)を占める主要産業です。ブラジルは砂糖、コーヒー、大豆、トウモロコシ、食肉などの世界最大の輸出国であり、農業セクターの振興は同国の経済発展だけでなく世界の食料安全保障の観点からも重要です。しかし農業従事者、特に小規模農家の金融アクセスは限定的で、設備投資等が行えないことが生産性向上を妨げています。

Sicrediシステム組合員農家

Sicrediシステム組合員農家

また、中小零細企業の金融アクセス改善もブラジルの大きな課題です。中小零細企業は企業数の98.5%、GDPの約27%を占め、正規雇用の54.5%を支えていますが、中小零細企業へのファイナンスギャップは国内GDPの約35%に相当する約6,260億ドルに達し、国内の資金需要に対応できていません。

本事業の融資先となるSicredi銀行を含むSicrediシステム(Sistema de Crédito Cooperativo)は、1902年創業の信用組合を起源とする中南米最古かつブラジル最大級の信用組合グループです。同システムには105の信用組合が加盟し、国内全27州に約2,600の拠点を有しており、組合員の農家や中小零細企業を中心顧客として金融サービスを提供しています。

Sicrediシステムは本事業資金1億米ドルのうち7,000万ドルをブラジル農業セクター向け融資に活用します。残る3,000万ドルは中小零細事業者向けの融資に充てられ、特にそのうち1,500万ドルは比較的経済発展の遅れている北部・北東部地域の中小零細事業者向け融資に活用されることが決まっています。

本事業はブラジル農業セクター及び中小零細事業者の金融アクセスの改善を図ることで同国の持続的な経済発展に寄与するものであり、SDGsゴール1(貧困をなくそう)、2(飢餓をゼロに)、8(働きがいも経済成長も)、9(産業と技術革新の基礎をつくろう)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)に貢献します。

なお、本事業はラテンアメリカ開発銀行(Corporación Andino de Fomento)との初めての協調融資であり、同行は上限5千万米ドルの融資契約に調印しました。

本事業は、「金融包摂促進ファシリティ(Facility for Accelerating Financial Inclusion: FAFI)」及び「食料安全保障対応ファシリティ(Facility for Supporting Agricultural supply chain and Food security Enhancement: SAFE)」の適応案件です。JICAは今後もブラジルを含め世界各国の農業セクター及び中小零細事業者の金融アクセスへの支援を継続していきます。

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