田中理事長による国連薬物・犯罪事務所ワーリー事務局長との会談、およびアフガニスタン向け無償資金協力贈与契約の締結:麻薬対策支援により健康被害低減に貢献


2024.07.09
田中明彦JICA理事長は、7月4日、国連薬物・犯罪事務所 (United Nations Office on Drugs and Crime、以下「UNODC」)のガーダ・ファトヒー・ワーリー事務局長とJICA本部で会談しました。また、この会談の席上、アフガニスタン・イスラム共和国向け無償資金協力「麻薬対策能力強化計画(UN連携/UNODC実施)」を対象とした15億1,400万円を限度とする贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。
冒頭、田中理事長は、アフガニスタン向け無償資金協力等を通じた双方の連携に感謝の言葉を述べました。これに対し、ワーリー事務局長から、アフリカや東南アジア地域等におけるUNODCの取り組みについての説明と共に、双方の連携をより一層深めていきたい旨の発言がありました。さらに、アフガニスタンにおける麻薬対策支援や、アフリカ地域等での法執行能力向上の重要性 等について、意見交換を行いました。
その後、アフガニスタン・イスラム共和国向け無償資金協力「麻薬対策能力強化計画(UN連携/UNODC実施)」の贈与契約を締結しました。
面談の様子
田中理事長(左)とワーリー事務局長
アフガニスタンでは、長年に渡る紛争や情勢不安等の影響により未曾有の経済的及び人道的危機が続く中、違法薬物の服用率が増加しており、健康被害が深刻になっています。違法薬物の原料作物の一つであるケシは、一時アフガニスタンで全世界の8割以上が生産されていました。また、生成された違法薬物は国内のみならず世界的に広く流通するため、アフガニスタンにおけるケシ栽培への対応は世界的な課題として位置づけられています。2022年のケシ等違法薬物原料植物の栽培禁止令によって、アフガニスタンにおけるケシ栽培は大幅に減少し、当時ケシを栽培していた農家の多くは小麦等の代替作物の栽培を始めています。しかし、代替作物による収入は大幅に減少しており、より高収入が見込めるケシ栽培を再開することが懸念されています。
本事業は、アフガニスタンの中でケシ栽培が特に盛んであった3県において、ケシ代替作物の栽培促進や違法薬物使用者向けの治療施設改修等を実施することにより、違法薬物使用に伴う健康被害の低減を図りSDGsゴール1(貧困をなくそう)及びゴール3(すべての人に健康と福祉を)に貢献します。
案件の詳細は以下の通りです。
国名 | アフガニスタン・イスラム共和国 |
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案件名 | 麻薬対策能力強化計画(UN連携/UNODC実施) (The Project for Strengthening Counter-narcotics Capacities) |
供与限度額 | 15億1,400万円 |
実施予定期間 | 24か月 |
実施機関 | 国連薬物・犯罪事務所(UNODC) |
対象地域 | アフガニスタン(ヘルマンド県、カンダハール県及びバダフシャーン県を予定) |
具体的事業内容(予定) |
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