ケニア向け無償資金協力贈与契約の締結:ケニアをハブとしたグローバルヘルスへの貢献

2024.05.07
国際協力機構(JICA)は、4月26日、ケニアの首都ナイロビにて、同国政府との間で、「ケニア中央医学研究所研究機能強化計画」を対象として30億5,600万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。
ケニア国内では、HIV/エイズ、結核、マラリアなど感染症が健康被害の上位6位を占め、近年でも公衆衛生対策が不十分なことから、各種感染症の突発的な流行が報告されています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行においては、医療体制の逼迫に加え、人々の生活や社会経済にも深刻な影響が生じました。ケニア中央医学研究所(KEMRI)は、1979年の設立以降、我が国が約半世紀にわたり研究部門や実験室等の施設整備や、熱帯感染症研究に係る人材育成を支援してきた結果、現在では東アフリカを代表する感染症対策の研究機関となり、国外研究機関との共同研究やケニア以外の関係者に対する研修を実施するまでに発展しています。COVID-19対応では、ケニアのPCR検査の中核的役割を担い、アフリカ域内で使用する検査キットの性能試験を委託されるなど、国を超えて感染症対策に貢献しています。
一方、既存の施設では、新興感染症に関する研究やリスクの高い病原体を扱う検査・診断の対応能力に課題があり、今後も発生し得る新興感染症の流行に対応するためには、感染症研究及び検査・診断の両機能を強化するために施設及び機材整備が必要となっています。
本事業は、KEMRIに対し感染症研究及び検査・診断の早期対応にかかる施設及び機材の整備を行うことにより、COVID-19を含む各種感染症の研究機能強化を図り、もってケニア及びアフリカ域内(特に東アフリカ地域)における健康危機対応能力の強化に寄与することからSDGsゴール3(健康な生活の確保、万人の福祉の促進)に貢献します。
案件の詳細は以下のとおりです。
国名 | ケニア共和国 |
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案件名 | ケニア中央医学研究所研究機能強化計画 (The Project for Strengthening the Research Capacity of Kenya Medical Research Institute) |
供与限度額 | 30億5,600万円 |
実施予定期間 | 42ヵ月(詳細設計・入札期間含む) |
実施機関 | ケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute) |
対象地域・施設 | ナイロビ市 |
具体的事業内容(予定) | 1. 施設整備/機材調達 研究複合施設の建設、研究・検査用機材、非常用発電機等 2. コンサルティング・サービス 詳細設計、入札補助、施工監理、(ソフトコンポーネントとして)施設・機材の適切な運用及び維持管理のための研修等 |
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