第10回太平洋・島サミット(PALM10)開催
2024.07.29
7月16日(火)から7月18日(木)にかけて、記念すべき10回目の開催となる『第10回太平洋・島サミット』(PALM10)が東京で開催されました。太平洋・島サミットは1997年から3年に一度ずつ開催されている首脳会合で、太平洋島嶼国14か国、仏領2地域、豪州、ニュージーランドと日本の計19か国・地域の首脳や、太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長が参加しました。
JICAは50年以上もの間、大洋州の国々との対話を深め、気候変動、人材育成、経済基盤整備、保健医療や教育など、同地域の発展に様々な協力をしています。会合期間中、JICAは外務省と共催で「人材育成を通した大洋州と日本のキズナ」と題したサイドイベントを開催したほか、田中理事長は太平洋島嶼国各国の首脳やPIF事務局長との懇談、今後の協力の可能性について意見交換をしました。
7月17日(水)に開催したサイドイベントでは、冒頭、田中理事長より、これまでの日本と太平洋島嶼国との人的交流によって、各国首脳から「キズナ」という言葉で表される特別な関係構築がなされていることに言及し、このような人を介した協力を通じて、日本と太平洋島嶼国との友好関係や二国間関係が深まることの重要性を強調しました。さらに、この協力から培われた能力や知識が、大洋州の国々やコミュニティの開発に資するだけではなく、日本が直面する課題への解決策にも繋がる、「共創」事例となることへの期待を示しました。
続いて、大洋州の国々と日本とのこれまでの人的交流・人材育成の事例の紹介として、日本の立命館大学、大阪大学で学んだ経験をもつマンギシ駐日トンガ王国大使、JICA海外協力隊員として2002年~2004年にバヌアツで活躍され、その後も継続的にバヌアツへ事業を展開している (株)東芝の鈴木将男氏、および、フィジーを拠点に1992年からJICA専門家として気象分野で大洋州地域へ協力を続ける日本気象協会の黒岩宏司氏の3名が登壇し、それぞれの活動を通し、長きにわたって構築された日本と太平洋島嶼国との信頼関係や、双方の課題への貢献について発表を行いました。
イベントの最後には、自身もJICAの研修に参加した経験がある太平洋諸島フォーラム(PIF)のワンガ事務局長のコメントと、高村正大外務大臣政務官からの挨拶、さらに出席した首脳・大使等との記念撮影があり、あらためて「キズナ」を確認するイベントとなりました。
田中理事長のスピーチ
登壇者と大洋州各国代表との集合写真
また、7月16日(火)に開催された林官房長官夫妻主催歓迎レセプションでは、太平洋島嶼国が地域共通の開発戦略として2022年に発表した長期開発戦略『ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略』(以降、「2050年戦略」)の重点7分野に沿って、JICAの大洋州における協力をパネルで展示し、現在派遣中の海外協力隊員によるメッセージ動画と共に、来場者に向けた説明を行いました。加えて、太平洋島嶼国14か国のうち、JICAが海外協力隊の派遣を行っている10カ国に派遣された10名の元協力隊員が、田中理事長とともにJICAブースにて各国首脳と懇談を行いました。
パラオ大統領(右)とパラオ派遣の元海外協力隊員(左)
トンガ首相(左)、在京大使(中央奥)とトンガ派遣の元海外協力隊員(右)
パプアニューギニア首相(左)とパプアニューギニア派遣の元海外協力隊員(右)
その他、7月16日(火)から7月18日(木)までの会期中、田中理事長は太平洋島嶼国14か国の首脳や要人、PIF局長と会談を行い、大洋州地域における今後の協力に対する可能性や、JICAへの期待等について意見交換を行いました。
クック諸島:ブラウン大統領
ミクロネシア連邦:シミナ大統領
フィジー:ランブカ首相
キリバス:イテラエラ外務移民次官
ナウル:アデアン大統領
ニウエ:タンゲランギ首相
パラオ:ウィップス大統領
パプアニューギニア:マラぺ首相
マーシャル諸島:ハイネ大統領
サモア:フィアメ首相
ソロモン諸島:マネレ首相
トンガ:フアカヴァメイリク首相
ツバル:パナパ外務・労働・貿易大臣
バヌアツ:サルワイ首相
PIF事務局:ワンガ局長
PALM10本会合では、次なる30年に向けて「共に歩む」関係を強調し、「2050年戦略」の実現に向けた協議が行われ、会合の終わりには「第10回太平洋・島サミット(PALM10)首脳宣言」、及び附属文書である「第10回太平洋・島サミット(PALM10)共同行動計画」が採択されました。島嶼国が重視する気候変動分野における日本の新しいイニシアティブとなる「太平洋気候変動強靭化イニシアティブ」では①防災・災害対処能力の強化、②クリーンエネルギーの推進、③島嶼国自身の取組の後押しの三本柱が設けられています。
JICAは引き続き日本と大洋州地域をつなぎ、同地域の課題解決のパートナーとして活動を続けていきます。
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