ベトナム「女性中小零細事業者支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):女性中小零細事業者の金融アクセス改善に貢献



2025.07.30
国際協力機構(JICA)は、7月29日、ベトナム社会主義共和国の首都ハノイ市にて、ベトナムの商業銀行であるVietnam Prosperity Joint Stock Commercial Bank(VPBank)との間で、融資契約の調印式典を開催しました。
本事業は、カナダ開発融資機関(FinDev Canada)、オーストラリア輸出金融公社(EFA)、英国国際投資公社(BII)、三井住友銀行との協調融資を通じて、ベトナムにおけるサステナブルファイナンス(*)の拡大に貢献するもので、三井住友銀行とJICAが金融市場におけるサステナブルファイナンスの普及促進のために策定した「SMBC-JICAサステナブルファイナンス・フレームワーク」(後述)の適用案件です。また、BIIとは初の直接協調融資案件となります。
署名式の様子
女性中小零細事業者とVPBankスタッフ
案件概要
1. 融資先
Vietnam Prosperity Joint Stock Commercial Bank(VPBank)
2. 国名(対象地域)
ベトナム社会主義共和国
3. 融資額
1億ドル
4. 案件名
女性中小零細事業者支援事業
5. 事業目的
本事業は、ベトナムにおいて、VPBankへの長期融資を行うことにより、同国における女性中小零細事業者向け金融アクセス改善を図り、もって持続的な経済成長に寄与するもの。
6. 事業概要
ベトナムでは、中小零細事業者(MSME)が全企業の97%以上、雇用の36%以上を占め、経済において重要な役割を担っている。しかし、このうち女性が経営するMSME(WMSME)は、MSME全体の約20%と少数であり、事業規模も小さく、金融サービスへのアクセスに課題がある。WMSMEの金融包摂に取り組むVPBank向け2号案件である本事業は、JICAの融資金額全額をWMSME向け融資に充てることで、WMSMEの更なる金融アクセス改善を図る。また本事業は、2018年のG7サミットで設立された、ジェンダー平等に資する投資を促進するためのイニシアティブ「2X Challenge」にも資するもの。
7. SDGs
への貢献
ゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)
ゴール8(働きがいも経済成長も)
ゴール9(産業と技術革新の基礎をつくろう)
ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)
参考情報:
本フレームワークでは、開発途上国における開発事業の課題設定・モニタリング・事業効果測定におけるODA実施機関としてのJICAのノウハウを活用して、両者の協調融資にあたって共通の事業効果測定方法・モニタリング手法を用いることで、融資先が創出する開発インパクトを評価・共有し、マネジメントすることとしています。そうした手法の共通化により、本フレームワークはSDGs達成に向けた取り組みとして国際的に認められた各種のサステナブルファイナンス原則(**)に合致・準拠したものとして、外部評価機関による第三者意見を取得しています。JICAは本フレームワークの導入により、今後も三井住友銀行との連携を積極的に推進し、開発途上国・地域の経済社会の発展に向けた民間資金動員を加速していきます。
(*)サステナブルファイナンス:環境・社会・ガバナンス(ESG)といった観点も踏まえながら、持続可能な経済・社会に必要な課題解決のため、資金を活用するもの。
(**)国際資本市場協会(ICMA)やローン・マーケット・アソシエーション(LMA)等が定めるグリーンローン原則、サステナビリティ・リンクローン原則、グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則、及びサステナビリティボンド・ガイドラインを指す。
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