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中東地域向け最大の円借款案件「バスラ製油所改良事業」運用開始へ

#7 エネルギーをみんなに。
そしてクリーンに
SDGs
#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs

2025.10.29

10 月 25 日、イラクにおいて有償資金協力「バスラ製油所改良事業」によって整備された環境負荷軽減の技術を取り入れた製油所の竣工式が開催されました。イラク側からはムハンマド・スーダーニー首相などが出席、日本側からは遠藤彰在イラク日本国大使館特命全権大使、遠山慶JICA 中東・欧州部長らが出席しました。

同式典において、スーダーニー首相は、JICAの協力に感謝の意を示しつつ、両国関係者の努力により、短期での完工が達成できたことを祝福しました。また、遠藤大使は、両国関係者の尽力に敬意を表しつつ、平和で持続可能な未来を築くため、引き続き日本政府はイラク国民と共に歩むと述べました。

本事業は、既存のバスラ製油所において、流動接触分解装置(FCC:Fluid Catalytic Cracking。重質油を軽質油に変換するための石油精製技術)等の施設を新設するもので、脱硫装置やFCC建設に本邦技術・ノウハウが活用されています。原油からガソリンなどを精製する効率を高める装置を導入し、ガソリンや軽油などの生産量を現在の日量約6万バレルから16万バレルに高めることが見込まれています。

中東・北アフリカ向け円借款として最大の総額5,703億1,400万円の円借款が日本政府からイラク政府に供与されました。また、本事業には主契約者が日本企業に限定されるSTEP制度*(注)が適用され、日本企業がEPC(設計、調達、建設)契約を受注し工事を進めてきました。

本製油所の稼働は、イラク国内における石油精製品の安定供給と合わせ、同国の経済安定に大きく貢献する見込みであり、中東全体の安定及び日本のエネルギー安全保障に資することが期待されます。イラク戦争から20年以上経過し、治安の安定にも兆しが見えつつある中、本事業の成功事例は、日本企業の質の高い技術を証明するものであり、日本企業の投資誘致を促進する効果も期待されます。

JICA は、質の高いインフラ整備を通じて、開発途上国の課題解決に貢献していきます。

*(注)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者は、本邦企業、海外に存する本邦企業の子会社、本邦企業と借入国との共同企業体(JV。本邦企業がリードパートナー)のいずれかであることが必要。また、一定の条件下において、本邦企業と本邦企業の持分法適用会社とのJV(本邦企業がリードパートナー)も主契約者となることが可能。

スーダーニー首相のスピーチの様子

流動接触分解装置

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