緑の気候基金(GCF)連携事業の承認:ラオス国REDD+成果支払い-「ラオス南部におけるガバナンス、森林ランドスケープ及び生計手段プロジェクト」
2025.10.29
国際協力機構(JICA)がラオス政府と協力して「緑の気候基金」(Green Climate Fund: GCF)(*1)に申請した「ラオス人民民主共和国2015-2018年の成果を対象としたREDD+成果支払い -ラオス南部におけるガバナンス、森林ランドスケープ及び生計手段プロジェクト」の提案書が、大韓民国で開催された第43回GCF理事会において、10月29日に承認されました。本件はJICAがGCFの資金により実施する3件目の事業であり、日本政府の開発協力大綱で記されている多様な資金の動員にも資するものです。
森林と村落が同居するラオスの典型的な風景
本事業は、ラオス人民民主共和国(ラオス国)が2015~2018年に達成した森林減少・劣化抑制による二酸化炭素の排出削減及び植林・自然林の再生による吸収促進に対して、GCFから成果払い資金(REDD+成果払い資金)(*2)を受領し、ラオス国の持続可能な森林管理の促進を通じた気候変動の緩和・適応、生態系保全及び農村地域の公正で持続可能なグリーン成長の促進に再投資するものです。JICAが長年、REDD+に関する政策・計画策定や森林モニタリングシステムの開発、排出削減・吸収量算定等に協力してきた成果とラオス政府の努力が実を結んだものであり、今後更に、GCFから受領する資金を活用して森林保全と気候変動対策が進むことが期待されます。また本事業は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標13「気候変動に具体的な対策を」及び目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献するとともに、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のパリ協定の目標達成にも資する取組です。
案件の概要は以下のとおりです。
【案件概要】
- 国名:ラオス人民民主共和国
- 案件名:ラオス人民民主共和国2015-2018年の成果を対象としたREDD+成果支払い -「ラオス南部におけるガバナンス、森林ランドスケープ及び生計手段プロジェクト」
- 受領額:61,465,393米ドル(約91億円)
- 実施予定期間:7年間
- 実施機関:ラオス人民民主共和国農業環境省森林局、JICA
- 対象地域: ビエンチャン特別市、南部地域(Savannakhet県、Salavan県、Champasak県、 Attapeu県、Sekong県)
- 事業内容:
アウトプット1: 国家REDD+に係る調整及び関連政策、法令、規則の実施強化
アウトプット2: ラオス国南部地域におけるガバナンス、森林ランドスケープ管理及び農村地域コミュニティの生計の向上
アウトプット3: プロジェクト管理能力の強化
今後もJICAは、森林や自然環境の保全、それらを通じた気候変動の緩和・適応に向けた協力を進めていきます。
(*1)緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及びパリ協定の下に設置されている基金です。GCFは開発途上国において温室効果ガス削減(緩和策)と気候変動の影響への対処(適応策)を支援しています。JICAは2018年からGCFの認証機関(Accredited Entity)となっています。
(*2)REDD+はReducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocksの略称です。途上国の森林減少・劣化の抑制や植林等による二酸化炭素の排出削減及び吸収促進の成果に対して資金を提供する国際的メカニズムです。
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