JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)第2回フォーラム

掲載日:2020.07.28

イベント |

概要

会議名:JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)第2回フォーラム
開催日:2020年7月28日
主催:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
場所:Zoomによるオンライン形式(運営会場 JICA麹町本部)

主な参加者

国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 研究戦略室 飯山 みゆき 室長
イーサポートリンク株式会社 取締役兼 常務執行役員 戦略事業部 深津 弘行 部長
東京富士大学(元イオンマレーシア副社長)増田 泰朗 客員教授
JICA 理事 萱島 信子
JICA 上級審議役 佐藤 正
JICA 経済開発部 部長 牧野 耕司
JICA 経済開発部 農業・農村開発グループ次長 天目石 慎二郎
JICA ベトナム事務所 次長 室岡 直道
JICA マダガスカル事務所 前企画調査員 杉本 記久恵

背景・目的

途上国に対する新型コロナウイルス感染症対策への支援は喫緊の課題です。他方、農業・食料分野などへの影響はどうなっているのでしょうか?
栄養、食料、雇用等への対応はコロナ禍における人間の安全保障の担保に欠かせないものです。しかしながら同分野における途上国でのコロナ禍による現場の状況は専門国際機関もいまだ調査中であり十分把握できておりません。本フォーラムでは公表データのみならず、JICAが独自に収集した途上国政府や農民の生の情報を専門的知見から取り纏め、また在外事務所からの最新報告も行うなど、現場のリアリティを共有しました。
JICAの発表に基づき、民間企業と研究機関からお招きしたパネリストの方々より、またフォーラム視聴者も意見交換に参加し、途上国の農業・食料分野におけるコロナ禍の影響と今後の予測、今後の我が国の支援のあり方を考えました。

内容

結論:コロナ禍に対応するためサプライチェーン(SC)に携わる生産者、流通・加工業者、小売業者、消費者などの連続的・横断的な結び付きを強化し食の質・量・安全の確保に資する中長期的な取り組みの重要性を確認しました。

1.JICAからの報告

食料自体は十分にあり国際的に低価格で推移しています。しかし物流の整備水準が低い途上国ではコロナ禍で農産物流通が停滞し食料価格が上昇した事例も見られ、その影響を受ける脆弱層に注視していきます。種子や肥料などの緊急支援に加え、民間企業との連携や技術活用により、強靭なSCを再構築する中長期的支援を進めます。
ベトナムでは輸出先の多様化や食品加工産業振興といった農・食のリスク管理に係る政府の意識の高まり、保存のきく作物の作付計画や販売への移行、販路縮小による売上減や逆に輸入農産物代替により売上増となった各農民組合の状況を確認しました。これらの状況を念頭に協力方針を策定します。
マダガスカルでは免疫力を高める食事をラジオ番組で広く啓発中です。住民に定着するよう既存の料理に日常的に入手可能な食材を加え栄養のある質の高い食生活となる工夫をしています。

2.パネルディスカッション

冒頭、牧野部長が西アフリカのエボラ流行に関する自身の体験から、感染症復興対策には医療だけでなく命を支える農と食の支援が不可欠であることを強調しました。各パネリストがコロナ禍に対応した我が国の農・食分野支援に係る提案を述べ議論を交わしました。
飯山氏はスマート農業は生産性向上の飛躍を可能にする手段であるが、その機能を発揮させるため地域に応じた育種・栽培体系確立と施設・情報インフラ整備を同時に進める施策の重要性を述べました。
深津氏はSC強化のために日本が貢献できる分野として、収穫後の品質管理、小分配送のノウハウ、決済機能の整備を挙げ、コロナ禍により変化しつつある商習慣・流通形態に対応した農村流通の強化を図るべきと提案しました。
増田氏は安定供給を図り適正価格で消費者に供給する小売業界の社会的責務を強調するとともに、食の安全を保証するSCの活動展開を提案しました。
(注)提案を踏まえた議論により、1)データ収集強化、2)情報技術活用などによる危機を商機とする挑戦、3)生産性や価値向上による途上国内の食料安全保障強化支援により、コロナ禍への対応の方向性が確認されました。