アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)の取組み-カンボジア工科大学による国際会議の開催-

2021年2月5日

2021年2月4日(木)・5日(金)、アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)プロジェクトの活動の一つとして、カンボジア工科大学が主催し、化学工学分野の国際会議がオンラインにて開催されました。

コロナ禍のため、専門分野を同じくする教員・学生が物理的に一堂に会することはかないませんでしたが、オンラインの実施に切り替えたことにより、今回はAUN/SEED-Netに加盟するアセアン10ヵ国および本邦の関係大学に加えて、他地域において高等教育協力を実施しているエジプト日本科学技術大学等も加わり、総勢236名の教員および学生が参加しました。

今回の国際会議は、AUN/SEED-Netプロジェクトにおいて過去に日本の大学で学位を取得し、現在カンボジア工科大学で教育・研究活動を継続している複数の教員が積極的に企画したことで実現しました。

AUN/SEED-Netプロジェクトの概要

AUN/SEED-Netプロジェクトは東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10か国にある26大学と、日本の14の支援大学から構成される大学間ネットワークで、工学分野の高度な人材を輩出・養成することを目的として2003年に発足しました。現在、15年間にわたる活動の成果である1300人の学位取得支援や200件を超える共同研究支援などを通じて形成されたネットワークのさらなる強化および拡大を目指し、2018年3月からフェーズ4プロジェクトを実施しています。

フェーズ4ではこれまでの協力の集大成として、アセアン各国の政府・大学とコストシェアを行いながら、東南アジアのトップ大学と日本の大学・企業が共通の関心分野・課題に関してコンソーシアムを形成し、合同学位につながる修士・博士プログラムや日本企業との共同研究や学生のインターンシップなどを実施する「共同教育プログラム」を6件実施中です。共同教育プログラムの実施を通じ、教育研究の国際競争力の強化や日本企業による優秀な留学生の獲得、学生のグローバル化に貢献するプログラムを組織化することで、日本と東南アジアのトップ大学が人材育成・共同研究を進めるためのネットワークを持続的に発展・強化させることを目指しています。

また、コロナ禍を受けて新型コロナウイルス対策に貢献する共同研究についても実施しています。

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SEED-Net化学工学分野(カンボジア工科大学主催)国際会議の様子

AUN/SEED-Netプロジェクトによる継続的な協力の成果の一つとしてSATREPSを実施中

今回の国際会議においては、AUN/SEED-Netプロジェクトの学位取得プログラム修了生が、主催者として化学工学分野の関係大学や関係機関との調整の上、同会議の企画、運営をリードしました。

中でも今回の国際会議において中心的な役割を果たしたタン・リャズメイ博士(カンボジア工科大学のリサーチ・イノベーションセンターの副ダイレクター)は、AUN/SEED-Netプロジェクトの支援を受け、フィリピンのデラサール大学で修士号を取得後、東京工業大学で博士号を取得しました。また、カンボジア工科大学に戻った後も、東京工業大学の指導教員である丹治保典教授と宮永一彦助教との連携を継続し、AUN/SEED-Netプロジェクトのなかで共同研究プロジェクトを実施しました。同研究成果をベースにSATREPS「トンレサップ湖における環境保全基盤の構築」(2015年6月~2021年3月)の研究グループのメンバーとして活躍しています。

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タン・リャズメイ博士(中央)と東京工業大学の指導教員である宮永一彦助教(左)、丹治保典教授(右)

タン・リャズメイ博士のコメント

リャズメイ博士はAUN/SEED-Netプロジェクトについて以下のように述べています。

「私は本プログラムを通じてフィリピンのデラサール大学で化学工学の修士課程を修了し、その後東京工業大学で生物工学の博士課程を修了しました。このような継続的な留学の機会を与えてくれたJICAに本当に感謝しています。また、共同研究プロジェクトによって東京工業大学との関係を継続でき、SATREPSのメンバーとしてさらに自身の研究能力を高めることができました。」

約20年続いてきたAUN/SEED-Netプロジェクトは優秀な工学系人材を多く輩出し、持続可能なネットワークを構築するための様々な取り組みを行ってきました。現在、リャズメイ博士のようにSEED-Net修了生が東南アジア各国で工学系の各分野において教育・研究をリードしています。

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タン・リャズメイ博士