世界銀行セミナー「ビルド・バック・ベター:東日本大震災から10年の歩みと今後の防災のありかたについて」にJICA天野理事が登壇

掲載日:2021.03.18

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概要

3月18日、世界銀行東京防災ハブが主催するセミナー「ビルド・バック・ベター:東日本大震災から10年の歩みと今後の防災のありかたについて」 がオンラインで開催され(参加人数約250名)、JICAより天野雄介理事がパネリストとして出席しました。

このセミナーは、世界銀行各国事務所や国際機関他、日本国内外の防災関係者を対象に実施されたもので、震災から10年の強靭化の取り組みと、これからの10年を見据えた防災・強靭化のあり方について議論しました。

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JICA天野理事がパネリストとして登壇

議論の中で、JICA天野理事は、東日本大震災の教訓として事前防災投資の重要性と未曽有の災害の経験を今後に活かすなど、JICAが重要視している点を説明しました。セミナーを通じて、強靭化は切れ目のない努力と学びの過程で得られるものであり、行政、地域社会、民間、科学分野の多様なアクターが統一的な戦略・計画に基づいて、より一層連携を深める必要性が確認されました。

内容

セミナーのオープニングでは、郡和子仙台市長や岡本全勝元復興庁事務次官から、これまでの10年の東北の力強い復興の様子が紹介されました。住宅やインフラの復興だけではなく、現在まで続く街のなりわいの再活性化の取り組みの紹介があり、被災された地域が、以前よりも強く着実に復興し、前進する様子が共有されました。

天野理事からは、東日本大震災からの二つの大きな教訓として、事前防災投資の重要性と、未曽有の災害の経験をこれからの災害のために十分に活かすことの重要性が提示され、これらがJICAの途上国防災支援にどう活かされているか、フィリピン(事前防災投資の効果)とネパール(BBBと長期的な防災投資に向けた取り組み)の事例を挙げながら紹介しました。また、これからの10年においては、構造物・非構造物対策を通じた確実な事前投資を継続していくことが大切であり、時に大規模災害やパンデミック等の危機に直面することもあるが、常に教訓を次に活かし、乗り越えていく姿勢の重要性を強調しました。

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事前防災の重要性と効果について、フィリピンのJICA支援による治水対策を例に発表

2015年に仙台防災枠組(2015-2030)が合意されてから既に5年が経ち、残された期間は10年です。当事国政府や社会・市民を中心主体として、サイエンス・コミュニティや開発パートナー等、防災に取り組む様々なアクターが同じ課題意識の下で連携をより強くし、取り組んでいく必要があります。強靭化は社会全体の中のアクターたちが力を合わせて、切れ目ない努力を続けることで初めて達成できるものである、という認識がセミナーを通じて共有されました。