第1回拡大対象国向け地域研修の開催について
掲載日:2021.03.24
イベント |
現在、当機構JICAでは「太平洋地域ハイブリッド発電システム導入プロジェクト(広域)」を沖縄県の企業を中心として取り組んでいます。
本プロジェクトでは、太平洋地域の5か国、フィジー、ツバル、キリバス、ミクロネシア、マーシャルを対象に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入状況等を踏まえたディーゼル発電機(以下、DG)の適切かつ経済的な運用・維持管理に加えて、再エネの適切規模での導入・運転を支援し、DGと再エネによるハイブリッド発電システムの導入を推進しています。
今回、本プロジェクトの一環としてフィジーの研修リソースを育成・活用し、クック諸島、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガの7か国の技術者に対して、第1回拡大対象国向け地域研修を開催しました。
太平洋諸島電力協会の本部があるフィジーは、太平洋地域の電力事業を牽引する立場にあり、ハイブリッド発電システムが普及していくための地域研修の場になることが求められています。本研修ではフィジーのインフラ省、Energy Fiji Limited(EFL)に所属する技術者がトレーナー(講師)となり、太平洋地域の7か国の技術者にハイブリッド発電システムに関する必要なノウハウ、技術、運用維持管理の講義を実施しました。また各トレーナーへの研修参加者からの評価、研修参加者への研修前後のレベルチェックテストを行い、一定の成績者には研修終了証を発行するなどトレーナーの士気高揚に繋がるようにしました。
当初、各国の技術者をフィジーに招聘しハンズオン研修も含めた内容を計画しておりましたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、フィジーへの渡航自粛となりましたが、Web会議システムZoomを活用した複数国同時接続による遠隔研修を実施し無事全日程を終えることができました。
本取り組みは、フィジー人のトレーナーにとって貴重な経験としてノウハウが蓄積され、参加7か国の技術者も一同に会して意見交換を行う絶好の機会となりました。今後、第2回拡大対象国向け地域研修の実施に向けて課題を改善しながら準備を進めていく予定です。
日本(沖縄、東京)、フィジーおよび拡大対象7か国の参加者所有のパソコンからWeb会議システムZoomで同時接続による遠隔開催
なお、Zoom会議は、フィジーがホストとなり、沖縄(日本)が開催を支援。
フィジーからトレーナー5名、クック諸島から6名、ナウルから2名、パラオから6名、パプアニューギニアから2名、サモアから7名、ソロモンから2名、トンガ2名の総勢32名の技術者が研修に参加。
フィジーからトレーナー9名、クック諸島から3名、ナウルから3名、パラオから6名、パプアニューギニアから1名、サモアから3名、ソロモンから3名、トンガ2名の総勢30名の技術者が研修に参加。
1日目 | 【DG研修】 ・開講セレモニー ・安全について ・DGの基本原理、特徴、構成、制御器具記号について ・発電所の運転手順 |
【再エネ研修】 ・開講セレモニー ・オリエンテーション ・再エネの概要 ・太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電 |
2日目 | 【DG研修】 ・DGの基本原理、特徴、構成、制御器具記号について(1日目の継続) ・発電所の運転手順(1日目の継続) ・DGの主な設備(機械) |
【再エネ研修】 ・再エネの概要(1日目の継続) ・海洋温度差発電、地熱発電 ・ハイブリッド発電システムのコンセプト ・再エネ統合計画 ・再エネ発電システムの変動性 |
3日目 | 【DG研修】 ・DGの主な設備(機械)(2日目の継続) ・DGの主な設備(電気) |
【再エネ研修】 ・再エネ統合計画(2日目の継続) ・再エネ発電システムを統合することによる系統運用への影響の可能性 ・EFLパワーシステム ・電力システムの要件と電力システムの安定性 |
4日目 | 【DG研修】 ・発電所の保守点検(概要) ・測定器や専用工具の使い方演習 |
【再エネ研修】 ・再エネの統合計画(3日目の継続) ・代数的手法と系統シミュレーション方法 ・系統計画 ・太陽光発電設備 計画とシステム設計 ・導入可能性調査 |
5日目 | 【DG研修】 ・測定器や専用工具の使い方演習(4日目の継続) ・DGのメンテナンス(電気) |
【再エネ研修】 ・太陽光発電設備 計画とシステム設計(4日目の継続) ・導入可能性調査 ・計画と設計手順 ・PVアレイの設計 ・PVモジュールの選択 ・PVモジュールの直列および並列接続 ・基礎設計 ・雷保護設計 ・接地設計 ・計測装置 |
6日目 | 【DG研修】 ・DGのメンテナンス(電気)(続き) ・DGのメンテナンス(機械) ・意見交換 ・閉講セレモニー |
【再エネ研修】 ・太陽光発電システムの運用と保守 ・機器の運用と保守 ・日常点検(点検パトロール) ・定期点検(メンテナンス) ・測定機器を使用した点検方法(絶縁抵抗値測定、I-V曲線特性計測、赤外線画像点検、断線部位探査) ・意見交換 ・閉講セレモニー |
フィジーインフラ省のエネルギー局長 ミカエレ氏による開会挨拶
遠隔研修の様子1(日本側)
遠隔研修の様子2(日本側)
研修参加者(Zoom画面)
フィジー人トレーナーによる講義の様子
フィジー人トレーナーによる講義の様子
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