「大エジプト博物館と東日本国際大学の軌跡」研究発表会にてJICAの活動を紹介

掲載日:2021.04.26

イベント |

概要

2021年4月26日、東日本国際大学エジプト考古学研究所主催、JICA後援により、研究発表会「大エジプト博物館と東日本国際大学の軌跡」がオンライン生配信にて開催されました。吉村作治総長による基調講演、エジプト考古学研究所の先生方による発表の他、JICAからもエジプト事務所長による発表、東北センター所長による挨拶を行いました。

背景・目的

JICAは2006年に大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum:GEM)建設に対する円借款による協力を開始し、付属の保存修復センターでの人材育成を目的とした技術協力プロジェクトや、目玉の展示の一つとなる「第二の太陽の船」の発掘・復原への支援も実施してきました。東日本国際大学からは、これらのプロジェクトへのエジプト考古学研究所の専門家派遣により継続的に協力いただいています。

今回のイベントは、東日本国際大学により、これまでの活動を学生だけでなく高校生、卒業生、地域の方に広く知っていただく機会として企画されました。

内容

東日本国際大学の緑川理事長による開会挨拶では、GEMが世界最大級の規模を誇る博物館として全世界から注目されていること、日本政府がJICAを中心に支援をしていることの紹介がありました。

続く吉村総長の基調講演では、約4500年前に造られたクフ王の「第二の太陽の船」について、1987年の発見から2011年の発掘開始までの苦労の道のりとJICAによる支援の開始、エジプト側との協力発展の様子、いわき市の地域の方々とのつながりなどの紹介がありました。

JICAエジプト事務所の大村所長の講演では、GEMの建設現場写真を用いて「GEMバーチャルツアー」を実施した上で、エジプトの現況や観光産業の重要性、「博物館とは何か」をめぐる世界的な議論の変遷を踏まえた、日本によるGEMへの支援の意義を紹介しました。

続いて、第二の太陽の船の発掘・修復・復原の現場主任である黒河内教授による発表「クフ王第二の船プロジェクトの今後」では、非常に状態の悪い約1600点もの部材を発掘した過程と、模型の制作や三次元計測結果に基づく復原シミュレーションを経て復原を実現していく今後の計画について、多くの写真を交えた詳しい説明がなされました。

最後の発表は、JICAの「大エジプト博物館合同保存修復プロジェクト」に従事する西坂客員教授による、同プロジェクトの紹介でした。プロジェクトの特徴として、エジプトと日本の双方から多岐の分野にわたる大人数が参加し協働していること、科学的調査のための機材供与と技術移転を行っておりこの点エジプト側からの期待も高いことなどが、具体的な活動の様子とともに説明されました。

JICA東北センターの小林所長による閉会挨拶では、防災・復興支援を特徴とした研修事業、中小企業・NGO・自治体・大学等との連携事業等、東北六県をカバーする同センターの事業の紹介を行いました。

最後に再び吉村総長より閉会の言葉として、JICA及び外務省や文科省の支援への感謝と共に、レプリカ制作や当時の思想の研究など第二の太陽の船をめぐる今後の希望と共に「学問は楽問として楽しんでやるもの」というメッセージが送られました。

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緑川理事長による開会挨拶

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吉村総長による講演

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大村エジプト事務所長による講演

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黒河内教授による発表「クフ王第二の船プロジェクトの今後」

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西坂客員教授による発表「大エジプト博物館合同保存修復プロジェクト」

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小林東北センター所長による閉会挨拶での東北センター事業紹介