フィリピン・ミンダナオ「革新的な課題解決策に関するピッチ・イベント」の開催

掲載日:2021.09.16

イベント |

概要

会議名:革新的な課題解決策に関するピッチ・イベント
開催日:2021年9月16日
主催:JICA/バンサモロ暫定自治政府・内務自治省の共催
場所:オンライン

主な参加者

  • バンサモロ暫定自治政府(BTA)関係省庁
  • JICA(平和構築室/フィリピン事務所/専門家)
  • 業務委託先:アイ・シー・ネット株式会社

背景・目的

フィリピン・ミンダナオでは、40年以上にわたり紛争が続きましたが、2014年3月にフィリピン国政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で包括和平合意が署名され、本和平合意に基づき、自治政府への移行手続きや武装解除や戦闘員の社会復帰等の正常化プロセスが進行しています。2019年2月にバンサモロ暫定自治政府(BTA)が発足し、現在、自治政府設立に向けた準備が進んでいます。和平プロセスを後戻りさせないためにも、BTAによる行政サービスが滞りなく行われることが、バンサモロ地域の安定にとって重要です。

そのような中でコロナ危機が起きたことを踏まえ、2020年8月にJICAとBTAは共同で新型コロナウイルスの影響を把握するための簡易調査を実施しました。その結果、67%の住民が行政サービスへのアクセスが困難と回答し、また、行政官の87%が行政サービスに対する住民のニーズ把握が困難になっていると回答しています。

このような状況を踏まえ、2021年3月から、「バンサモロ地域におけるコミュニティの課題・ニーズに対応したコミュニティ開発に係る情報収集・確認調査」を開始し、インターネットの公開情報等のビッグデータ等を活用したニーズ調査及び重要課題の特定、当該地域の課題に対応する革新的な解決策の募集等を支援しています。本イベントは、住民から広く募集した革新的な解決策を披露する場として設定されたものです。

内容

バンサモロ地域において、住民の行政参加の一環として広く社会・経済などの重要課題に対応する革新的な課題解決策をオンラインやSNS経由で募集したところ、合計41件の応募があり、「革新性」・「実施可能性」・「対象裨益者」・「対象課題」などの基準に基づき、JICAとBTA内務自治省(MILG)が事前に5名の受賞者を選定しました。今回のピッチイベントでは、5名の受賞者がそれぞれのアイデアについてプレゼンテーション及びBTA関係省庁の政策担当者との質疑応答を行った上で、それぞれに表彰状が授与されました。

なお、今回受賞した5つの課題解決策は下記のとおりです。

  • Bangsamoro Community Law Clinic(JICA最優秀賞)
  • Garbage Recycle Project(MILG最優秀賞)
  • Floating Academy (MILG/JICA優秀賞)
  • MFC: Battle against the Mininfodemic(JICA優秀賞)
  • Weaving Every Dream of Sama Dilaut in Tawi-Tawi(MILG優秀賞)

JICA最優秀賞は「Bangsamoro Community Law Clinic」に授与されました。このアイデアは、各コミュニティに無料の法律相談クリニックの設置を提案するものです。当該クリニックの設置が、脆弱層含め、司法へのアクセスの促進に繋がることを期待するとともに、コミュニティにおける「包摂性」を促進するものとして高く評価しました。

コロナ禍においては、前例にとらわれない柔軟なアイデアが必要不可決です。今回のイベントの実施がBTAによる政策立案の一助となることを期待します。

JICAはミンダナオのすべての人々が将来に希望を持ち、平和に暮らすことができるよう、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平プロセスに対し、長年支援を続けてきました。今後も、バンサモロ政府の設立及びミンダナオの平和と安定のために、引き続き支援していきます。

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MILGの代表者による開会挨拶

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表彰状(JICA最優秀賞)

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表彰状(MILG最優秀賞)

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5人の受賞者がそれぞれ熱意のこもったプレゼンを行いました

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5人の受賞者がそれぞれ熱意のこもったプレゼンを行いました

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BTA政策担当者からの鋭い質問にプレゼンターは誠意をもって回答しました