南スーダンの地域社会再建に向けて日本の復興経験や地方行政制度を紹介

掲載日:2021.10.08

イベント |

概要

会議名:南スーダン平和構築(地方行政)分野における基礎情報収集・確認調査オンラインワークショップ
開催日:2021年10月4日(月)~2021年10月8日(金)
主催:独立行政法人国際協力機構(JICA)
企画実施支援:株式会社パデコ
場所:オンライン(南スーダンのジュバと接続)

主な参加者

登壇者

山下茂氏 明治大学名誉教授
宮城県議会議員 高橋宗也氏
東松島市復興政策部復興政策課 川口貴史氏
特定非営利団体活動法人石巻復興支援ネットワーク 兼子佳恵氏
石巻市復興政策部地域協働課 七宮義幸氏、坂野匠氏
陸前高田市地域振興部商政課 木全洋一郎氏
陸前高田市戦略アドバイザー・東北大学特任教授 村上清氏
JICAガバナンス・平和構築部平和構築室 土肥優子氏

主な参加者

南スーダン中央政府職員、中央エクアトリア州政府職員、西バハル・アルガザル州政府職員

背景・目的

南スーダンでは2011年の独立後も大統領派と副大統領派の政治的対立に基づく武力衝突が続いていましたが、2018年9月に両派が「再活性化された衝突解決合意(R-ARCSS)」に署名し、ようやく和平プロセスが再開されました。

様々な課題を抱えながらも、紛争で分断された地域社会を再建し、平和の定着を目指すためには、各地方自治体による適切な基礎的サービスの提供や、行政と住民との協働が必要不可欠です。他方、新国家として独立して以来、紛争が続いてきた南スーダンでは、行政サービス提供のための制度の整備や人材の育成が十分ではありません。

そこでJICAは、南スーダンの地方行政支援のために必要な情報を収集・分析するための調査を実施し、その一環として、南スーダン政府関係者を対象としたワークショップを開催しました。

内容

本ワークショップでは、まず山下教授から日本の地方行政制度の概要を紹介いただいた上で、宮城県、東松島市、石巻市、陸前高田市の各地方自治体の職員の皆様と市民団体の代表を講師としてお招きし、それぞれの視点から東日本大震災からの復興経験や教訓について、お話しいただきました。また、JICAからは広島の戦後復興や他のアフリカの紛争影響国におけるJICAの協力について紹介しました。

4日間にわたる講義と意見交換、振り返りセッションを通して日本の地方自治体の戦災や自然災害からの復興経験を学んだ南スーダン政府関係者からは、最終日の5日目に南スーダンにおいて地域社会の再建を推し進める上での課題と施策、日本から更に学びたいことなどの発表がありました。発表や意見交換の中では、特に地域の復興に向けた行政と住民の協働について高い関心が寄せられ、「多くが破壊された状況でも再建が可能だと勇気づけられた」など、多くの参加者から前向きな発言がありました。

新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響で、当初計画していた日本の自治体への訪問・視察を行わず、オンラインでの開催となりましたが、日本の地方自治体、市民団体の地域復興にかける「想い」と南スーダン政府職員の復興への「想い」が通じ合い、非常に活発な学びと意見交換の機会となりました。

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参加者集合写真

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講義中の様子

「南スーダンの事情は異なるものの、日本の行政の仕組みや市民のイニシアチブについて、母国の将来を考えながらの質問や発言が相次ぎ、各州に持ち帰って共有したいとの声もあがりました」(南スーダン会場でワークショップを統括した業務主任安西氏)。

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ディスカッションの様子(ファシリテーター:安西氏)

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ディスカッションの様子