COP26(英国・グラスゴー)サイドイベント報告「Technology and Data Collection for Peatlands Management」
掲載日:2021.11.09
イベント |
2021年10月31日から11月12日にかけて、英国グラスゴーにおいて第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開催されましたが、11月9日に開催した泥炭地管理にかかるサイドイベントを報告します。
会議名:COP26サイドイベント Technology and data collection for peatlands management
(仮訳:泥炭地管理のための技術及びデータ収集)
開催日:2021年11月9日(火)
主催:JICA
共催:UNEP(国際連合環境計画)、GPI(Global Peatlands Initiative)
開催地:英国 グラスゴー COP26 Peatlands Pavilion及びオンライン
国連気候変動枠組条約において、森林等の温室効果ガス(GHG)排出抑制の重要性や、森林減少・劣化からの排出を削減するための仕組みが議論されています。特に、「泥炭地」は少なくとも森林が貯蔵する地上バイオマスの2倍近くの炭素が固定されていると推計されており、気候変動対策として泥炭地由来の温室効果ガスの排出削減対策が注目されています。
このたびJICAは、イギリス・グラスゴーで開催されているCOP26のPeatland PavilionにおいてUNEP(国際連合環境計画)、GPI(Global Peatlands Initiative)と共に三大熱帯泥炭地であるインドネシア、コンゴ盆地、ペルーを対象に、政府関係者、研究者が集まり、泥炭地保全の重要性及びその測定手法等について紹介を行うサイドイベントを開催しました。
COP26では、サイドイベントを集約したエリアが会場内に設けられ、全てのサイドイベントは現地での参加とオンラインによるハイブリット方式となりました。Peatland Pavilionもその一角に常設され、計45セッション開催し、各セッション平均150名のオンライン参加者となりました。
その中でも、本サイドイベントは、インドネシア、コンゴ盆地、ペルーの関係者が集まったこともあり、会場満席+オンライン参加者は253名、と泥炭関係者の強い関心を集めました。
今回のイベントでは、基調講演として北海道大学の大崎名誉教授が、インドネシアの事例を基に膨大なギガデータを用いることで泥炭地のみならず熱帯林のモニタリングができる可能性について紹介されました。
コンゴ民主共和国のバンブータ氏、ペルーのホセ氏からは、各国での泥炭地保全への取り組みが紹介されるとともに、データ整備の重要性についても触れられました。宇宙システム開発利用推進機構の広瀬氏からは、ペルーで用いたマッピング手法を応用したコンゴ盆地でのマッピングの紹介を、コンゴ民主共和国のエワンゴ教授からは、JICAと合同で行ったコンゴ盆地でのフィールド調査を動画とともに紹介されました。
また、住友林業インドネシア法人の加藤氏とニケン氏からは、インドネシアで地上調査・UAV調査・衛星解析を組み合わせたモニタリング手法が紹介されました。
そして最後に、FAOのマリア氏より、泥炭地データ確保のための人材育成・研修の必要性について触れられました。
泥炭地は、気候変動対策のみならず世界の水循環、生物多様性など様々な地球のもたらす生態系サービスにも通じるものであり、今回のCOP26で単独の泥炭地パビリオンが設置されたように、泥炭地の適切な管理・保全はさらに重要な課題となってきています。JICAは、引き続き、今回共催した国連機関・研究機関、さらに関連する民間企業等とのパートナーシップ構築を推進し、泥炭地保全の取り組みを推進して参ります。
コンゴ民主共和国でのフィールド調査
COP26 Virtual Peatland Pavilion
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