イラン養殖関係者向け「持続的な海面生簀養殖」シリーズ・セミナーが無事終了しました!

掲載日:2022.02.01

イベント |

イランにおける養殖業は50年以上の歴史があり、コイ、ニジマス、チョウザメ等の養殖生産量は年間44万トンを上回りますが、今までは主に川や湖を中心とした内水面養殖が中心でした。同国は、今後カスピ海やペルシャ湾、オマーン湾沿岸域での海面養殖の発展と振興を目指しています。海洋環境を守りながら生産性を向上させるため、環境負荷の少ないエサの開発や給餌方法の改良、海面生簀の構造や法制度等につき日本の施策や技術の共有が求められているところ、JICAは2021年7月~2022年2月まで、イラン漁業機構(IFO)及びJICA帰国研修員同窓会の水産・漁業関係者を対象に、日本の海面生簀の理解促進を目的とした4回のシリーズ・セミナーを開催、累計250名の参加で盛況に幕を閉じました。

海面生簀養殖各セミナーのテーマとご協力いただいた講師の先生方

【画像】

第1回 2021年7月26日 海面生簀養殖(概論)
講師:吉松隆夫先生/三重大学名誉教授、水産増養殖専門家
内容:日本の海面生簀養殖の歴史と概要、養殖業と漁業協同組合、海面生簀の種類と構造、持続的な養殖

【画像】

第2回 2021年8月23日 海面生簀養殖(各論1)
講師:吉松隆夫先生/三重大学名誉教授、水産増養殖専門家
内容:日本の人工種苗生産、マダイを例とした人工種苗生産手法

【画像】

第3回 2021年11月8日 海面生簀養殖(各論2)
講師:高吉良臣先生/日東製網(株)専務取締役
内容:日本の海面養殖生簀の構造と生簀設置技術について

【画像】

第4回 2022年1月31日 海面生簀養殖(各論3)
講師:日向野純也先生/一般社団法人 マリノフォーラム21 Exective Technical Advisor
内容:「海面生簀と環境」

海に優しい持続可能な養殖業の振興を目指して…!

本セミナーの全体を通じて一番の焦点となったのは「環境負荷削減」です。イラン側の関心は生産性の向上だけではなく、環境保全とのバランスをいかに保つかということでもあり、環境配慮が非常に高いことが看取できます。また、イラン側の養殖や水産に関する知識・技術レベルはかなり高く、海面養殖に関しての専門的で深い造詣を持つ講師の先生方からのセミナーは専門的だと毎回好評で、高度な質疑応答や議論も交わされました。

最後にイラン漁業機構から「コロナ禍で渡航できない状況が続いており、日本での研修も延期となったが、この1年をかけて素晴らしいセミナーで座学知識を得ることができた。すべてのご関係者に感謝したい。」と謝辞を受けました。

JICAは2022年度以降、イラン漁業機構の関係者を対象に「海面生簀養殖における生産管理能力強化」に関する本邦研修を実施する予定です。今回のセミナーで得た知識をベースに、日本の各地で実践されている養殖の取り組みを実際に視察していただく日を、関係者一同心待ちにしています。