ジャマイカ「JICAチェア・オンラインセミナー」を実施

掲載日:2022.02.15

イベント |

2022年2月15日、西インド諸島大学MONAキャンパス(University of the West Indies、以下「UWI」)及びJICAジャマイカ支所の共催で、ジャマイカにおける第1回目のJICAチェアが遠隔講義で開催されました。講義では、萱島信子(緒方貞子平和開発研究所シニア・リサーチ・アドバイザー)より「日本の近代化と教育」及びジャマイカを含む教育分野における日本の国際協力について講義が行われました。UWIの学生や教員、当国の教育省関係者や帰国研修員同窓会も含め総勢45名が受講し、活発な意見交換がなされました。

オンライン講義の概要

(1)萱島シニア・リサーチ・アドバイザーからの講義

「日本の近代化を知る7章」の第5章を視聴後、日本の教育協力、ジャマイカにおける日本の教育協力の概要について以下の点を講義。

  • これまでの日本の教育協力の柱は、1)基礎教育、2)高等教育、3)職業訓練・技術教育であり、新たな領域として、復興支援、特別支援教育、就学前教育を展開していく方針。特徴は、1)ODA全体における人的資源開発の重視、2)日本の経験の活用、3)日本の経験の現地化、4)協力相手国のオーナーシップ重視。
  • ジャマイカにおいては、これまで協力隊員派遣を中心に、初等教育(理数科、音楽)、職業訓練、カリキュラム開発、特別支援教育、IT等の分野で協力を実施。

(2)主な質疑応答

(質問)日本の近代化と教育の経験はジャマイカにも活かせると思うが、日本は輩出した優秀な人材が海外に流出せずに留まり(Educational Retention)自国内の教育レベルの保持に貢献できている主な理由は何か?
(回答)明治初期に外国人教師を日本に招聘した際、教授言語は英語のみならず多言語にわたっていた上に高給が支払われた。そのため、海外留学させた若い人材が帰国後にこれらの外国人教師に替わり、学んだ知識や専門用語をすべて日本語に翻訳して日本語による教育の環境が整った。日本では初等教育から高等教育まで日本語で学ぶことができることが、国内での教育の普及や学問の発展につながり、海外よりも日本で指導や研究を続けることの言語的快適さを体感したことが国内に人材が定着した要因と考える。
(コメント)今回の講義を聴講し、ジャマイカと日本の大きな違いは国民の政府に対する信頼、敬意の姿勢や「Literacy Rate(適切な読解記述力を備え持つ人材の比率)」と感じた。

(質問)西洋世界が彼らの伝統や教育方式を日本に強要したと考えるか?
(回答)そうは思わない。日本は近代化の過程において西欧諸国の植民地にはならず、西欧諸国の様々なモデルを比較しながら自ら最適なものを選んでいた。当時は政府や知識人の間でも自国の伝統や習慣の尊重と西洋文明や学問の導入において多くの議論があった。第二次世界大戦敗戦後は連合国の教育システムや民主化を受け入れてきたが、その過程において日本の状況に適った教育に適合させてきたと考える。

Haughton行政学科長の閉会挨拶

冒頭、本日の講義やこれまでのJICAによるジャマイカへの協力に対する謝辞をいただいた後、「保健分野」「デジタル化」「多様化」「環境保全」「気候変動」といった分野でのパートナーシップの促進、教育プログラムや相互理解の促進の重要性についても言及されました。結びに、本日の講義の中で最も興味深かった点は「如何にして西洋の教育や文化を自国に適した形で取り入れてきたかという点である」とのコメントもなされ、盛況のうちに閉会となりました。

セミナーの様子

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Haughton行政学科長による講義進行

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高野支所長からの開催挨拶

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北岡理事長ビデオメッセージ

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萱島研究所顧問の講義の様子

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質疑応答の様子

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Haughton行政学科長からの閉会挨拶