アフリカ国境手続きの円滑化に向けてOSBP関係者が知見を共有:AfCFTA及びCOVID-19を踏まえたOSBPソースブック第三版策定にかかる関係者会合の開催

2022年3月22日

One Stop Border Post(OSBP)は、国境を越境する際に両国それぞれで行われていた通関や出入国の手続きを、両国の国境施設を一つに統合、あるいは入国する国の施設で通関と出入国手続きを一か所で行えるようにすることで、人やモノの効率的な移動を可能にする取り組みです。内陸国の多いアフリカでは国境での手続き・審査にかかる時間やコストが他の地域よりも高く大きな課題となっていましたが、OSBPはこうした陸国境手続きにかかる時間や輸送コストを下げ、さらにアフリカの域内貿易を促進する施策として注目され、導入が進められてきました。2011年、アフリカ各国からのOSBPの開発に関する参考資料へのニーズを受け、JICAはアフリカ・インフラ・コンソーシアムを通じてOSBPソースブック(初版)の策定を支援し、その後2016年には、更なるOSBPの導入や機能化のために必要な項目や事例を踏まえた第二版OSBPソースブックの策定を支援しました。

近年、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の設立協定の発効と運用開始、COVID-19の感染拡大による国境での検疫システムの強化の必要性の高まり等、OSBPを取り巻く状況と課題が変化していることを踏まえ、改めてOSBPの政策的位置づけや課題と改善策を分析し、OSBPソースブックを改訂することが必要不可欠となりました。このようなニーズに基づき、JICAはアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)とともに、同ソースブックの第三版作成を支援することとし、2022年1月及び同年3月、コンサルタントチーム(株式会社パデコ)が情報収集・分析を経て準備した改訂案をもとに、第三版OSBPソースブック策定に向けた関係者会合を実施しました。

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第三版OSBPソースブック改訂・回関係者会合(2022年1月及び3月)

関係者会合を通じて国境手続きの好事例、政策的アップデートを議論:AfCFTA及びCOVID-19を踏まえた150以上の改訂案を収集

OSBPソースブック改訂作業では、アフリカ国境を取り巻く現状やOSBP事例について、関係者会合や個別インタビュー、アンケート調査を通じて、アフリカの地域経済共同体(RECs)やアフリカ連合(AU)加盟国政府、アフリカ内外の開発パートナー等、OSBP専門家や関係者の知見を収集しつつ、近年行われた調査などの関連資料を分析し、150以上の改訂案を収集しました。

第一回OSBPソースブック関係者会合(2022年1月27~28日)では、約30名のOSBP関係者が参加し、1)アフリカ大陸関税同盟の実現に向けたOSBPの概念と役割の再確認、2)OSBP施設設計のあり方とICT技術の活用、3)小規模貿易商と国境コミュニティへの考慮、4)感染症対策を踏まえた検疫や国境手続き、5)法的・制度的枠組み、6)国際テロの脅威を踏まえた国境セキュリティー、7)国境手続きやOSBP導入事例等について、改訂案を踏まえて包括的な議論が繰り広げられました。とりわけ、国境を面した二国間の通関システムの相互接続と共通担保制度の導入による手続きの短縮化の必要性と取り組みなどが議論されました。

第二回OSBPソースブック関係者会合(2022年3月22日)では、RECsや開発パートナーから約35名のOSBP専門家や関係者が参加し、第一回関係者会合の提言のもと更新された改訂案の中でも、特に、アフリカ地域統合とCOVID-19、ICTの活用や緊急時の対応策の重要性などに焦点を当てた建設的な議論が行われ、更なる改訂案を収集しました。参加者は、アフリカ大陸関税同盟への長期的な移行を前提にしたOSBPの位置づけと役割について議論を深め、アフリカ地域統合の文脈におけるOSBP運用及び、あるべきOSBPの導入方法(例:コンセプト設計、施設設計、デジタル技術の取り込み等)について認識を新たにしました。

第三版OSBPソースブックの策定の最終化に向けた専門家会合の成果

このような改訂プロセスを経つつ、第三版OSBPソースブックの策定の最終化に向け、以下の点が提起されました。

  • AfCFTAを通じたアフリカ大陸の地域統合が進む中、第三版OSBPソースブックでは、アフリカ地域統合を前提としたOSBP運用のあり方を反映させることが不可欠。
  • 第二版OSBPソースブック刊行後に生じた感染症の拡大及び政治的な不測事態に基づく対応策ついて、第三版OSBPソースブックに反映させることが重要。
  • OSBP施設の建設に焦点が偏らないよう、デジタル技術の活用や、特定のコミュニティ(例:小規模貿易商)のニーズにも注意を払い、貿易円滑化における横断的なニーズを理解した上で、より多くのパートナーの巻き込みを検討することが必要。
  • OSBP導入への政治的サポートを得るためにも、ソースブックの成果を活用し、幅広くOSBP関係者に効果的にアウトリーチできる方法について、具体的な方策を認識することが重要。

JICA及びAUDA-NEPADは、関係者会合で集約したこれらの重要な成果を踏まえつつ、2022年4月に開催予定の第三版OSBPソースブックの最終ドラフトの検証ワークショップにおいて、改訂案の最終化を図ります。今年開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けて、JICAは本改訂作業への支援を通じ、OSBP機能化に向けた支援を強化していきます。