北岡特別顧問がマダガスカルに足を運び「JICAチェア特別講義」を対面で実施

掲載日:2022.05.25

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JICAは、これまで世界51ヵ国で「JICAチェア」(日本研究講座設立支援事業)を実施してきました。コロナ禍のもとで、日本の講師による講義はオンラインが中心となっていましたが、2022年5月25日(水)、北岡伸一JICA特別顧問(前JICA理事長)が、マダガスカルに自ら足を運び、共催者であるアンタナナリボ大学の教員や学生、ほか招待客ら約100名を相手に対面講義を実施しました。

2022年3月3日に同大学で実施した北岡理事長(当時)によるオンライン講義に続き、今回は対面講義の利点を活かし、質疑応答を中心とした活発な双方向のやりとりが参加者との間で行われ、日本の近代化過程での人材育成や農業の発展に関する関心の深さが伺えました。講義後も、北岡特別顧問の周りに個別の質問のために人だかりができるなど、盛況のうちに終了しました。

講義・質疑応答の概要

今回の対面講義では、前回のオンライン講義を踏まえ、アンタナナリボ大学から予め共有されていた参加者の質問や関心を踏まえて北岡特別顧問が基調講演を行い、続いて当日の参加者との質疑応答を行いました。

基調講演では、明治維新の特徴やその後の近代化の成功の秘訣として、旧幕府軍と新政府軍との間で全面的な内戦に至らなかったこと、その背景には「我々は同じ日本人だ」という意識が既に一定程度醸成されていたこと、よって、当時両軍の背後にいたとされる英仏の介入が避けられたこと、そして新政府樹立後は旧幕府側出身者でも能力主義で人材登用されたこと、などを紹介しました。また、日本は独立を維持したため、西洋の列強各国の中から日本に合う制度を主体的に選ぶことができたことや、進んだ技術を学ぶために新政府幹部からなる欧米への使節団を長期間派遣したこと、更に、外国の教員・技術者を時には総理大臣より高い給料で招いたこと、などの特徴も紹介しました。

参加者からは、日本が独立を維持できた要因や、当時の行政機構、教育システム、言語や伝統・文化の維持に関する議論、農業振興策や日本の民主主義の特徴などに関する質問が寄せられ、講義後も個別の質問のために学生が北岡特別顧問を取り囲むなど、同大学の教員や学生らが日本の発展過程に対し高い関心を持っていることが確認されました。

アンタナナリボ大学における連続講義の概要

第1回講義(2022年3月3日)
テーマ:「明治維新:日本近代化の原点」
講師:北岡伸一JICA理事長(当時)

第2回講義(2022年4月28日)
テーマ:「日本の近代化と教育」
講師:萱島信子JICA緒方貞子研究所顧問

特別対面講義(2022年5月25日)
「日本の近代化から学ぶ:北岡顧問とのディスカッション」

第3回講義(2022年8月予定)
テーマ:「日本の開発経験とアフリカ協力」(予定)
講師:(調整中)

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約100名が参加しほぼ満席となった

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集合写真(招待客らと)