ニカラグア・マナグア湖環境保全・BIWAKO TF活動報告ウェビナー

掲載日:2022.05.26

イベント |

概要

会議名:ニカラグア・マナグア湖環境保全・BIWAKO TF活動報告ウェビナー
開催日:2022年5月25日 18:30~20:00(ニカラグア時間)、2022年5月26日 9:30~11:00(日本時間)
主催:ニカラグア事務所 BIWAKOタスクフォースグループ
場所:オンラインセミナー

主な参加者

  • 滋賀県教育委員会幼少中教育課の関係者(3名)
  • 滋賀県びわ湖フローティングスクールの関係者(7名)
  • 国際湖沼環境委員会(ILEC)の関係者(5名)
  • 中南米部、地球環境部、関西センターの関係者(12名)
  • ニカラグア事務所からBIWAKOタスクフォースメンバー8名

背景・目的

背景:

中米でハイチに次ぐ貧困国であるニカラグアの首都マナグアには、琵琶湖の2倍近い面積を持つマナグア湖が隣接しています。マナグア湖は観光資源として開発が進められている一方で、不十分な下水道整備に伴う汚染水の流入によって、水質汚染が深刻化しており、ニカラグアはその豊な自然資源を活かすことができていません。

このような状況に問題意識を持ったJICAニカラグア事務所では、国内外の状況や事例を学び、環境の保全・再生を進めながら経済を発展させた滋賀県の琵琶湖の開発や保全・再生の経験に注目し、滋賀県が世界に発信する「琵琶湖モデル」を参考に、2020年にマナグア湖環境保全の課題について考えるBIWAKOタスクフォース(以下、タスクフォースをTFと記載)を事務所の様々なスタッフとともに設置しました。2021年以降は、琵琶湖環境保全に従事しているILEC、滋賀県の教育委員会、フローティングスクールの関係者の協力を得ながら、ニカラグアのマナグア湖環境保全にかかる多様な活動を一つずつ実施しています。

今般のウェビナーでは、協力いただいた上述の滋賀県の関係者の方々を対象に、琵琶湖での環境保全の経験が、これまでどのようにニカラグアのマナグア湖環境保全の活動の中で活用されたか、また、今後TFがどのようなマナグア湖の持続的活用を目指した保全活動を計画しているかの報告を行いました。

内容

JICAニカラグア事務所のナショナルスタッフのTFメンバーより、以下項目について活動報告がなされました。

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(フォローアップ協力)マナグア湖環境保全のための環境教育プロジェクトの乗船型科学実験活動「ニカラグア版うみのこ」の報告

前半の各活動の実施報告では、滋賀県の関係機関の積極的な協力や激励なしではできなかったことを、TFメンバーから日本側の関係者に熱い感謝の言葉と共に伝えられました。特に、ILECの専門家によるニカラグア政府関係者を対象としたウェビナーはニカラグア側でとても好評で共感を得たこと、滋賀県教育委員会びわ湖フローティングスクール「うみのこ」の教育コンテンツに多くの関係者が共感した結果、ニカラグア版のUMINOKOの高い実施意欲につながったことが伝えられました。

後半では、JICA地球環境部の長谷川専門員より、2022年3月の現地視察を踏まえたマナグア湖と周辺環境の環境劣化要因・特性、ニーズについての説明がされました。加えて、TFメンバーから、今後のマナグア湖保全の活動案を発表しました(実施が決定している課題別/第三国研修他、調整中の環境教育ボランティア派遣、アイデア段階にある専門家、草の根技術協力他)。

滋賀県教育委員会の参加者からは、UMINOKOの活動をする上で、具体的な課題はどのようなものかとの質問がされました。TFメンバーからは、環境教育は1度の活動実施だけでなく、今後も続けるべきだが、それを続けるための予算や組織がないことが課題となっていることが共有されました。なお、フローティングスクールの参加者から、「うみのこを紹介した後、すぐにニカラグアにて実践されたことに驚いた。日本で様々な自治体に紹介するが、実際実行したと聞いたことはあまりない。是非今後も、ニカラグアに協力を続けたい。」とのメッセージが送られました。またILECの市木テクニカルアドバイザーから、「湖管理は長年かけて行うことになるので、マナグア湖の環境保全を行うため、例えば漁業組合等の湖の利用者の団体を巻き込むことが必要」とのアドバイスもありました。

最後にJICAニカラグア事務所の高砂所長から、「手探りで始めたマナグア湖の取り組みですが、日本の琵琶湖の関係者の皆さんの温かい協力のおかげで、いくつかの活動を行うことができています。今後も、課題や可能性を知り、JICAが出来ることややるべきことは何かを考えながら、日本とニカラグアを繋いでいきたいと思います。湖はここに住む人の財産です。特に、将来湖とともに生きていく若い世代、子供達に思いを馳せて、彼らも巻き込んで取り組んでいきたい思います。マナグア湖の持続的な活用ための保全活動について、皆さまには、引き続きご協力をお願いしたい。」と、参加者全員に伝えられました。

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うみのこフローティングスクールによる水の汚れ回復実験の様子

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参加者の質問やコメントを聞くニカラグア事務所のBIWAKO TFメンバー

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参加者の集合写真