経団連・JCIE・JICA 共催シンポジウム「『選ばれる国』になるために-共生社会実現へのアジェンダ」(ウェビナー形式)開催報告

2022年8月10日

概要

8月10日、JICAは(一社)日本経済団体連合会(経団連)及び(公財)日本国際交流センター(JCIE)と共催で標記シンポジウムを開催し、民間企業、省庁、自治体、大学、NPO等幅広い層から合計321名の方にご参加いただきました。

  • 開催日:2022年8月10日
  • 共催:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
    (一社)日本経済団体連合会
    (公財)日本国際交流センター(JCIE)(50音順)
  • 協力:責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)
  • 場所:オンライン(ウェビナー形式)

主な参加者

  • 開会挨拶(主催者代表):橋本 英二経団連副会長(日本製鉄社長)(ビデオメッセージ)
  • 政府代表挨拶:古川禎久法務大臣(ビデオメッセージ)
  • 基調講演:田中明彦JICA理事長(ビデオメッセージ)
  • パネルディスカッション登壇者:
    (モデレーター)
    瀬戸まゆ子 経団連外国人政策部会長
    (パネリスト)
    君塚宏 出入国在留管理庁在留管理支援部長
    宍戸健一 JICA上級審議役
    鈴木康友 浜松市長
    毛受敏浩 JCIE執行理事 (50音順)
  • 閉会挨拶(主催者代表):大河原昭夫 JCIE理事長

内容

冒頭挨拶・基調講演

  • 共催者を代表し橋本経団連副会長(日本製鉄社長)が開会挨拶をし、アジアの国々で進む少子高齢化等によって国際的な人材獲得競争が一層厳しくなる中、外国人材の中長期的な受入れに関する議論の必要性、共通の将来ビジョンを持ち産官学が連携することの重要性を述べられました。
  • 政府を代表して古川法務大臣が挨拶し、外国人材から選ばれる国であることが我が国にとって喫緊の課題であること、これまでの政府の総合的対応策、共生社会実現のためのロードマップ策定に加え、今般、技能実習制度・特定技能制度の見直し時期にあたり法務大臣勉強会を開催し、歴史的決着をつけたいという所感を公表したことについて述べられました(法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要(注1))。加えて、これまでの「国内の労働力不足を安い外国人で補う」という考えを一掃し、外国人に右肩上がりのキャリアパスを提供し、日本に来てよかったと思ってもらいたい等の力強いメッセージが発されました。
  • 田中JICA理事長が基調講演を行い、JICAが昨年度実施した調査研究結果(2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書 JICA緒方研究所(注2))を踏まえ、ただ単に外国人労働者が足りないから来てもらうという発想では健全な受入れ体制はできず、多様な外国人とともに新たな日本を共に作り出す発想が必要であること、外国人と日本人という二項対立ではなく、外国人の活躍をイノベーションと社会課題解決のエンジンとしてとらえること、それが外国人にとっても生きがいとなり選ばれる国につながる旨が発信されました。また、共生社会実現の課題として、人権意識の必要性と日本政府が人権を重視していることにも触れ、人権取組みにおける企業の果たす役割の重要性とJP-MIRAIの活動に触れました。最後に他国の統合政策及び日本の海外移住の経験、日系人受入れの経験を学ぶべき経験として挙げました。

パネルディスカッション

  • 「共生社会実現の方向性と課題」と題したパネルディスカッションでは、1)在留外国人の現状と課題、2)日本が誘致すべき外国人と活躍に向けた環境整備、3)「選ばれる国」に向けたビジョンと課題というテーマのもと議論が行われました。
  • 毛受 JCIE執行理事からは、平成元年から平成30年までの間、外国人が増え国籍が多様化したが、国としての政策不在の中で「多文化共生」が自治体やNPOに任されてきたこと、2019年の特定技能制度導入以降、総合的対応策、ロードマップ策定と実質的な「統合施策」が行われているが、「外国人は日本にとって重要な存在」であることを政府が明示することで国民の意識や国際社会の日本に対する認識を変えていく必要があることが指摘されました。また、2018年からJCIEが開催している「外国人材の受入れに関する円卓会議」の提言でも、1)「移民」という言葉をめぐる議論をやめ、現実に即した政策を考えるべき、2)ライフサイクルの視点からとらえる、3)NPOとのパートナーシップが重要と提言した旨紹介されました。さらに、外国人の高い非正規雇用率(派遣・請負等の割合はニューカマー外国人で20.4%と日本全体の2.5%と比べ極めて高い)、日本語力の低さが低賃金につながり貧困の悪循環に陥っている課題とともに、日本語力のある人材受入れと受入後の育成の重要性が指摘されました。
  • 鈴木浜松市長からは、浜松市に住む2万5千人の外国人市民のうち8割が長期滞在であり既に移民社会が出来上がっていること、外国人が活躍できる市の取組みとして、学習支援、外国人児童の不就学ゼロ作戦事業の他、外国人活躍推進に積極的に取り組む事業所の認定、欧州諸都市と連携した発信等、先進的な取組みの紹介がありました。市内経済界のうち、製造現場は技能実習生を育てた後、より長期で活躍してもらうため、帰国後再び技人国(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)で呼び寄せるケースがあり特定技能制度にも期待していること、高度人材も不足しており留学生定着の取組み、スタートアップ環境整備を進めている点に言及がありました。また、外国人集住都市会議を提唱し、長年日本政府に提言を行ってきたことが紹介され、国が覚悟をもって受入れを進める必要があり、ドイツ等先進事例を参考に基本法の整備や外国人庁(仮称)の設置をすべきとの発言がありました。
  • 君塚入管庁在留管理支援部長からは、外国人施策の変遷(昭和:「外国人ならでは」の業務に限定、平成:専門的な知識技術・熟練した技能を有する外国人、日系人、EPA看護師・介護士、ある種パッチワーク的な外国人労働者の受入れ、「蛇口」を広げつつも体制強化により不法滞在者を減少させてきた等)の説明がありました。その上で、令和の新時代では共生施策の構築を掲げつつ、「安全安心社会」「人権尊重」「コミュニケーションの醸成」「(マイナンバーを通じた)DX推進」を重視した外国人材の受入れを行うこと、技能実習・特定技能制度の今後の見直し検討にあたっては、法務大臣勉強会を受け、1)政策目的・制度趣旨と運用実態の分かりやすい整合、2)人づくりの理念の維持、3)人権侵害行為の防止、4)今後の日本社会の在り方に沿った制度作り、の4つの基本方針を基に歴史的決着を図りたいとしており、これは国として包括的に取り組んでいこうとする法務大臣の決意の表れであると述べられました。
  • 瀬戸経団連外国人政策部会長からは、経団連提言として、世界各国から優れた才能や技能・新しい価値観を持つ外国人に日本で働いてもらうことで、イノベーションが加速し産業競争力の強化につながる。そのためには、「受入れ」から「戦略的誘致」への視座の転換を図る等の3原則を含む提言の紹介がありました。また、企業側も変わることが大事であり、コミュニケーションのしやすさや、外国人の長期キャリア形成に資する雇用環境の実現が必要であること。日本が選ばれ、さらに企業が選ばれないといけないという二重のハードルがあるが、一企業でも外国人活躍のためにできる努力がある旨の発言がありました。
  • 宍戸JICA上級審議役からは、JICA調査研究の紹介の他、国境を越えて移動する移民労働者本人から見れば、語学要件なく申請から1ヶ月で渡航できる国もある中で、来てほしい人材に日本に来てもらうためには、ODAを戦略的に活用した人材育成(日本語・技能)の可能性もある旨言及されました。また、受け入れる側も相手の言語を挨拶だけでも学ぶなど、相手を理解する努力が必要との問題提起がありました。

閉会挨拶

  • 最後に、大河原JCIE理事長より、これからも政界・経済界・NGO・メディア等の様々なアクターが一緒に課題を考え、外国人も含めてこれからの日本を作っていくために議論を重ねていきたいと挨拶がありました。

資料

関連リンク

(パネルディスカッションのみJICA市ヶ谷・国際会議場にて開催・配信)

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古川法務大臣からの挨拶

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田中理事長による基調講演

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パネルディスカッションの様子

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大河原JCIE理事長からの閉会挨拶

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橋本経団連副会長(日本製鉄社長)からの挨拶