ナイジェリア北東部に平和を定着させるため、広島の経験に学ぶ-JICAとUNDPの連携により北東部州知事一行が来日-

掲載日:2022.08.12

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ナイジェリアは堅調な経済成長を続ける一方、アフリカ最大規模の貧困層を抱える国です。特に、北東部では、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」をはじめとする過激派グループによるテロや暴力事件により、紛争状態が長く続き、北東部地域だけでも200万人以上が国内避難民となりました。現在は、ナイジェリア政府の取組みにより、この地域の治安が回復してきており、帰還者も増えているため、早期復興と安定化、更には平和の定着に向けた取組みを加速させることが最優先の課題となっています。

2022年8月8日~12日、JICAは国連開発計画(UNDP)と連携し、北東部地域における復興や平和構築に向けた取組みを主導しているボルノ・ヨベ州の州知事、北東部開発委員会の長官ほか12名を日本に招へいしました。一行は、日本ナイジェリア友好議員連盟を表敬した後、広島に移動して広島平和記念資料館や平和記念公園を訪れ、広島の戦後復興の経験、国際平和都市としてあゆみへの理解を深めました。広島の戦後復興に関する講義では、広島の戦前から戦後の状況、復興までの具体的な取組みについて学び、「広島とナイジェリアでは状況は異なるけれども、広島の人々が廃墟からあきらめずに立ち上がり、短期間で復興した経験は参考になる」といった声や、「リーダーシップやコミュニティ強化を広島から学んだ。広島の経験は希望を与えてくれる」といった声が聞かれました。また、玉井優子広島県副知事とも意見交換を行い、ナイジェリアと広島のつながりを強化していくこと、戦争・紛争のない平和な世界を実現するために行政が果たすべき役割が大きいことについて一致しました。

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平和記念資料館を熱心に見学

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玉井優子広島県副知事への表敬・意見交換

JICAは2018年から、ナイジェリア国内にネットワークを持つUNDPと連携することで、紛争被害に苦しむナイジェリアの紛争影響地域の地方行政官に対し、日本の経験共有などを通じて、地域に平和が定着し、安全なまちづくりが進むことを目指して協力を続けています。今回は北東部の政策・実施に深く関わる州知事および北東部開発委員会の長官が来日し、ナイジェリアの現状への理解を深めると共に、北東部地域の復興と平和の定着への決意や必要な取組みをあらためて確認することができました。

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平和記念公園の慰霊碑前での集合写真

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広島の戦後復興に関する講義を受けている様子。

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広島の戦後復興に関する講義を受けている様子。

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ババガナ・ウマラ・ズルム知事(ボルノ州)とマイ・マラ・ブニ知事(ヨベ州)による慰霊碑への献花の様子。