トンガ王国政府・JICA共催セミナー「Build Back Better(より良い復興)ビジョンセミナー」-トンガ海底火山から半年。復興・復旧に向けたビジョンを初めて国内外に発表-

掲載日:2022.08.17

イベント |

概要

会議名:トンガ王国におけるBuild Back Better(より良い復興)ビジョンセミナー
開催日:2022年8月17日(水)10:00~12:00(日本時間)
主催:トンガ王国国家空間計画院(NSPA)とJICA
場所:トンガ王国の首都ヌクアロファ

主な参加者

登壇者

(トンガ側)トゥクア・トンガ(NSPA院長)、トゥイアフィトゥ卿(国土・天然資源省大臣)、セブンティーン・トウムア(インフラ省大臣)、パウラ・マウ(気象・エネルギー・情報・災害管理・環境・気候変動・通信省次官)、ロザモンド・ビン(国土・天然資源省次官)

(日本側)宗永健作(在トンガ日本国大使館特命全権大使)、山田順一(JICA副理事長)、横井俊明(JICA地球環境部防災グループ国際協力専門員)

参加者

トゥポウトア皇太子をはじめ、日本・トンガ双方より150名

背景・目的

今年1月15日、トンガ王国の首都ヌクアロファから北約65キロメートルにある海底火山(フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山)で大規模な噴火が発生しました。これに伴う津波や火山灰により、建物の損壊や浸水、交通や通信インフラの障害、農作物のダメージ、ホテル等の観光資源などに大きな影響が及びました。トンガ政府は「フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山噴火とトンガ津波災害復旧・復興計画2022-2025」(Hunga-Tonga-Hunga-Ha’apai Volcanic Eruption and Tonga Tsunami Recovery and Resilience Building Plan 2022-2025)を早期に打ち出し、日本をはじめとする開発パートナーと復旧・復興に取り組んでいます。

トンガの復旧・復興を「Build Back Better(よりよい復興)」とするためには、将来災害の起こりうる可能性やリスクを科学的に把握したうえでそれに見合った対策を考えていくことが不可欠です。トンガにおいては火山噴火や巨大地震、それに伴う津波、またサイクロンに伴う高潮などの今後起きる可能性や、その際の被害規模を科学的な根拠に基づいて想定しておくことが重要です。そのために我が国は、火山や地震・津波分野に関わる有識者の協力を得て、コロナ禍の渡航制約もある中、当初は遠隔で、5月以降は職員・コンサルタントチームを派遣して、王国地質局(TGS)等と協議を重ねました。

その結果、トンガ王国と日本は、同じ災害頻発国として協力し、「より良い復興(Build Back Better:BBB)ビジョン」をトンガ国民や内外の関係者に示すことになりました。このビジョンの趣旨は、今回のような復興過程において、今後も災害が起きる可能性を科学的な根拠に基づいて確認し、次の災害に対する備えを切れ目なく強化して将来的な被災リスクの軽減を目指すというものです。トンガ政府は、JICAが提供した草案をもとにNSPAの公式な文書を作成し、閣議の承認を得て、今後トンガの国家戦略枠組内の開発事業に活用するとしています。

今回のセミナーは、今後の復興・復旧の取り組みに必要な考え方と共に、その基本的な方向性を示すBBBビジョンを、トンガ政府が被災後初めて国内外に発表する重要な機会になりました。

内容

トゥクア・トンガNSPA院長より、JICAが提供した草案をもとに作成されたトンガ版BBBビジョンに関してご説明頂きました。日本の経験を元に、比較的発生頻度の高い津波(L1レベル)と極めて低頻度で発生する津波(L2レベル)の考え方や、それぞれに応じた対策案が示されました。また、災害リスク削減に必要な構造物対策、中でも海岸線での防災インフラ整備や都市部の重要な公共インフラ強化にかかる災害事前投資を促進するとともに住民の生計手段の強靭化を図ることに重点を置いて復興に取り組むことが強調されました。
JICA地球環境部防災グループの横井国際協力専門員より、トゥクア・トンガ院長の発表内容に合わせ、その元となっている考え方や、有識者の分析結果にも触れつつ、特に資本集積の高い都市部では海岸線での防災インフラ整備や強靭な交通・通信システム等の公共インフラの整備といった構造物対策を事前防災投資として次なる災害に備えること、地方島しょ部では自助・共助を中心としつつ、交通・通信、教育、保健分野への整備・投資を進めること、また、多目的で多段階防御(Multi-purpose and Multi Protection)な対策が都市部でも地方部でも有効であることを提言しました。
JICA山田副理事長からは、閉会の挨拶として、コロナ禍で困難な状況の中、我が国の災害経験に基づき仙台防災枠組で打ち出されたBBBの理念に基づき、トンガが我が国と共同で迅速により良い復興ビジョンを策定したことを高く評価し、BBBビジョンに基づき、トンガが復興を遂げ、災害に強靭な国を日本と一緒に作っていくことを期待する、という強いメッセージを発信しました。

資料

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山田副理事長による閉会の挨拶の様子

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山田副理事長による閉会の挨拶の様子

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BBBを発表するNSPAトゥクア院長と会場の様子

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宗永健作在トンガ日本国大使館特命全権大使の基調講演に耳を傾けるトゥポウトア皇太子