第6回IMF-JICA合同国際会議「発展途上のアジアにおけるパンデミックからの復興:健全な財政運営による包摂的で持続可能な成長」
掲載日:2023.02.14
イベント |
イベント:第6回IMF-JICA合同国際会議
日時:2023年2月14日(火)
共催:国際通貨基金(IMF)、国際協力機構(JICA)
場所:JICA緒方貞子平和開発研究所 国際会議場
アジア12ヵ国(注1)の財務大臣4名、中央銀行総裁3名を含む閣僚・局長級等30名以上が参加しました。財務省から神田財務官、IMFから岡村副専務理事、Srinivasanアジア太平洋局長、Gaspar財政局長、JICAから田中理事長、横山理事、武藤上級審議役が出席しました。
(注1)東南アジア(インドネシア、カンボジア、ラオス、フィリピン、ベトナム)、南アジア(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ、ネパール)、東アジア(モンゴル)。
2011年以降、IMFとJICAは、アジア諸国の財務省・中央銀行の当局者を招き、アジア及びグローバルな課題に関する議論の場やネットワークの機会提供を目的とした国際会議を隔年開催してきました。
第6回となる本会議はコロナ禍により3年振りとなりましたが、まさに「発展途上のアジアにおけるパンデミックからの復興:健全な財政運営による包摂的で持続可能な成長」と題し、複合危機の下で気候変動対策やSDGs達成の遅れへの対応を主たるテーマとしました。
コロナ禍以降の各国での取組の経験や教訓を踏まえながら、各国財政金融当局者、IMF、JICAからの参加者が、「パンデミック復興期の財政政策」、「気候変動」、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」(注2)に関し、議論を交わしました。
冒頭、IMF岡村副専務理事、JICA田中理事長より主催者挨拶を行い、財務省神田財務官が開会挨拶を行いました。
IMFは、アジア各国が現在直面している経済の後遺症(economic scarring)とSDGs達成にむけた資金ギャップの課題と機会など、アジア経済の見通しを説明しました。また、複合的なリスクへの緊急対応と中期の財務持続性のバランスをとりつつ、人材育成・社会保護策、気候変動対策、デジタルなどの長期的成長のための財政金融政策、財政構造改革を実行することを提言しました。JICAは、途上国の財政基盤強化の取組を紹介しつつ、2030年までのアジアの社会インフラ(学校、病院、公共住宅、庁舎)の投資ギャップは年間1.5兆ドル(コロナ禍により0.1兆ドル増加)との推計結果をもとに、官民連携による資金調達や投資効率の向上の必要性を強調しました。各国参加者からはコロナ禍の財政政策、中長期の課題への対応、公共財政管理改革プログラムの取組事例や教訓が共有されました。
IMFは、28カ国における国民の気候変動緩和政策に関する認識調査結果をもとに、政策の有効性と国民にとっての利益に関する情報を提供し環境意識を高めることによって、気候変動関連の政策(炭素税等)の設計・導入することの重要性や、そうした政策が持つ再配分効果やその緩和策を検討する必要性を指摘しました。JICAは、気候変動財政支援借款や災害リスクスタンドバイ借款の事例をもとに、幅広い利害関係者との対話を通じて、多様な技術オプションやセクターを対象に有効な政策を策定することの重要性を指摘しました。各国参加者からは炭素関連市場創出を含む気候変動対応の取組が報告されました。
JICAより、包括的な経済成長の基盤としてユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの投資が重要との認識の下、JICAが提供したCOVID-19危機対応緊急支援借款の効果により保健システム強化、脆弱者保護、経済復興などが促進されたことを報告しました。カンボジアの保健省と経済財政省、およびバングラデシュ財務省からは、財務省と保健省が連携して保健・教育の人的資本への投資を強化していく重要性が強調されました。
会議中は多様な状況におかれた各国財政金融当局者よりそれぞれの取組の経験や教訓などを交え、非常に活発な議論と交流が行われる有意義な機会となりました。今後もJICAはIMFと連携して、アジア諸国の強靭性の強化に取り組んでいきます。
(注2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:Universal Health Coverage):全ての人が適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払可能な費用で受けられること。
参加者
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