セミナー開催報告「インドネシアNINJA Demo Day」
掲載日:2023.02.16
イベント |
JICAインドネシア事務所が実施しているスタートアップ支援事業Project NINJA((注)以下本プロジェクト)の投資家ピッチイベントであるDemo Dayが2023年2月16日(木)にJICA本部(麹町)にて実施されました。イベントには、日系投資家・事業会社などから、会場・オンラインであわせて70名ほどが参加し、来日したインドネシアの社会課題解決型スタートアップ3社とのイノベーション創出に向けて、活発な議論が行われました。
冒頭、本プロジェクトの受託先である、インドネシアの社会起業家支援ネットワークであるANGIN社より、インドネシア市場の魅力やインパクト投資の潮流についての説明があり、続いてスタートアップ3社によるピッチが行われました。今回登壇した3社はいずれも、気候変動や食品ロスという社会課題をビジネスの力で解決することを目指すスタートアップで、コーヒー豆の皮などの廃棄物からバクテリアを活用して革素材を作るBell Society、賞味期限が近い食材を安価に販売するモバイルアプリを運用するSurplus、マングローブ植林をおこない企業の脱炭素を支援するCarbon Ethicsがそれぞれの解決策を発表し、参加者とのビジネスネットワーキングが行われました。ビジネスネットワーキングの参加者からは、「スタートアップ3社のピッチから、経済成長を続けているアジア新興国ならではの勢いや魅力を感じた」とのコメントがありました。
本プロジェクトは2022年9月の開始後、215社のスタートアップから応募があり、選考の結果、事業成長可能性と社会的インパクトの双方を備えた上記の3社が選抜されました。その後、ビジネス展開・資金調達・社会的インパクト評価などの専門性を持つメンターからのコーチングを受け、今回の約1週間にわたる東京滞在では、本イベントに合わせて、10社を超える日本での事業パートナー候補との商談も実施してきました。
JICAはこれからもスタートアップ支援を通じて、日本とインドネシアの間でのイノベーションを創出し、ビジネスの力を活用した社会課題の解決を目指します。
(注)Project NINJA(Next Innovation with Japan)は、JICAの開発途上国におけるビジネス・イノベーション創出に向けたスタートアップ・エコシステム構築・起業家支援活動として2020年1月に始動しました。
対象とする社会課題は食品ロスと気候変動(SDGsの12と13に該当)
コーヒー豆の粉やその他の有機廃棄物を原料として、バイオマテリアルレザーを開発・生産。革は、バッグや靴、壁材として販売されている。カフェやレストラン、コーヒー農家から直接、コーヒーと有機廃棄物を調達。自社ブランド・提携先とのコラボレーション双方をインドネシア・香港などで展開。今後2年以内に、世界のブランドとコラボレーションができるように、事業規模や世界的なネットワークを拡大する計画である。
対象とする社会課題は食品ロスと気候変動(SDGsの2、12、13に該当)
レストランや小売が、過剰生産された食事や食品を割引価格で販売することができるモバイルアプリでのマーケットプレイスを提供、既に10万ダウンロードを達成。レストランや小売りは、賞味期限が近い製品から収益を上げ、廃棄物管理費用を削減できるとともに、消費者は良質で食べられる食品を手頃な価格で発見できるようにしている。今後は食品領域のみでなく、日用品などにも事業を拡大予定。
対象とする社会課題は気候変動(SDGsの12,13,14に該当)
二酸化炭素の排出量算出や、コミュニティベースのカーボンオフセット事業(マングローブ植林)により、企業や個人が気候変動対策への行動を取ることをサポートしている。インドネシア企業のみならず欧米企業とも提携済。今後は、認証されたカーボンクレジットのグローバル市場へ進出し、ブルーカーボンや他の気候変動対策へも事業分野を拡大予定。
JICA民間連携事業部 片井課長によるオープニング挨拶
ANGIN社によるインドネシア市場・インパクト投資の潮流についての説明
スタートアップ3社によるピッチ
参加者とのビジネスネットワーキングの様子
JICAインドネシア事務所 坂本和樹
メール:Sakamoto.kazuki@jica.go.jp
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