Build Back Better(より良い復興):2022年パキスタン洪水被害復興支援 -安全な学校建設のためにできることを考える-

掲載日:2023.03.14

イベント |

概要

会議名:Build Back Better(より良い復興):2022年パキスタン洪水被害復興支援 -安全な学校建設のためにできることを考える-
開催日:2023年3月13日(月)~14日(火)
主催:パキスタン シンド州学校教育識字局、JICA
場所:パキスタン・カラチ

主な参加者

パキスタン・シンド州政府

サイード・アリ・シャー(教育識字大臣)、パーヴェイズ・アフメド・バロチ(学校教育識字局特別次官)、アブドゥル・カディール・アンサリ(同局次官補)、学校教育識字局の学校建設に携わる技術者約50名、同局政務官など

日本

橋本雅夫(シンド州洪水被害に対する教育 施設復旧に係る情報収集・確認調査総括、株式会社マツダコンサルタンツ)、後藤俊宏(国家防災計画改訂・更新プロジェクトチーフアドバイザー、株式会社 建設技研インターナショナル)、花屋亜希子(教育政策アドバイザー)、九野優子(JICAパキスタン事務所次長)

開発パートナー

世界銀行、ユネスコ、USAID

背景・目的

2022年、パキスタンで大洪水が発生し、前例のない規模の災害となりました。シンド州では7,503の公立校が全壊(公立校の約21%に相当)、12,305校(同約31%)が半壊する被害が発生し、安全な環境で学習する機会が奪われています。これらの教育施設の復旧にあたっては、災害前の状況に戻すのではなく、将来同様の災害が起こりうる可能性やリスクを科学的に把握し、その被害を最小限に抑えるための対策を考えていくという、「Build Back Better(BBB:よりよい復興)」の概念が重要です。
JICAはこれまでにシンド州において、無償資金協力プロジェクトを通じて54校の女子中学校校舎を建設してきました。これらの学校は2010年に発生した洪水の被害状況を踏まえて設計・建設されたもので、2022年の洪水においても大きな被害を受けることなく、避難所として活用されました。
このような背景から、このワークショップはシンド州政府の要請を受け、JICAと学校教育識字局が共催しました。今後学校の復旧、建設に携わる技術者の能力強化のため、JICAを含む開発パートナーがそれぞれの知見を共有し、技術者が直面する現状や課題を共有する中で、BBBの概念に基づいたシンド州の学校再建への道筋を考えていくことを目的としています。

内容

2023年1月に開催されたパキスタン洪水復興支援国会合にて発表された復興支援計画「Resilient, Recovery, Rehabilitation, and Reconstruction Framework Pakistan(4RF)」においてもBBBの概念に基づいた教育施設の復旧が中長期的に被災地の子供たちが安全に学習する機会を確保するための重点分野のひとつとされていることもあり、ワークショップの冒頭では、教育識字大臣をはじめとするパキスタン政府高官から、学校再建におけるBBBの重要性が強調されました。
JICAからは、パキスタン国家防災管理庁への技術協力プロジェクトに携わっている後藤専門家から防災における土地利用を含む予防の概念が紹介されました。また、シンド州において学校建設支援に携わってきた橋本専門家からは、災害に強い学校を建設するための設計や施工段階における留意点が共有されました。他開発パートナーからも、気候変動や災害リスクに対しより強靭な学校をつくるための具体的な試みが紹介されました。
また、学校教育識字局の技術者からも、政府の学校建設の現場で直面する現状や課題が共有され、今後目指すべき方向性が熱心に協議されました。ワークショップでの議論は学校教育識字局の主任技術者が提言としてとりまとめ、今後の州政府やドナーによる教育施設の再建にあたり、広く活用されることとなっています。

【画像】

教育識字大臣によるオープニングスピーチ

【画像】

橋本氏によるプレゼンテーション

【画像】

ワークショップに参加した学校教育識字局の技術者たち