「第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム」を横浜で開催
掲載日:2023.08.25
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全体集合写真。各国より総裁や局長を含む幹部クラスが参加
イベント:第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム
日時:2023年8月22日(火)~25日(金)※24日は日本企業(株式会社クボタ、横河ソリューションサービス株式会社)への視察を実施
場所:横浜シンポジア
東南アジア・南アジア10か国(カンボジア、インドネシア、ラオス、フィリピン、タイ、ベトナム、バングラデシュ、 ネパール、パキスタン、スリランカ)の水道事業体・所管官庁の幹部28名を含む、3 日間(企業視察日を除く)で延べ 495 名。
2023年8月22日~25日まで、『アジアから共創する強靭で持続可能な水供給サービス』をテーマに、第 5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム(以下、フォーラム)を横浜にて開催しました。本フォーラムは、アジア地域水道セクターのリーダー達とともに「強靭で持続可能な水供給サービス」の実現に向けた今後の取組について議論するとともに、参加者間のネットワークを広げることを目的としています。
JICA地球環境部水資源グループでは、途上国の水道事業体のリーダーが国や立場を超え、同じ目線で互いに学びあうプラットフォーム活動の一つとして「幹部フォーラム」をアジアとアフリカ地域にて定期的に開催しています。アジア地域では2010年に第1回幹部フォーラムを開催し、今回は5回目の開催となりました。
フォーラム開催にあたり、冒頭、大久保智子横浜市副市長と岩崎英二 JICA 上級審議役より開会挨拶が行われました。
次に基調講演としてエクソンチャン カンボジア国首相アドバイザー・農業地方開発評議会副議長(元プノンペン水道公社総裁)より、感染症、気候変動、地政学的課題などの変化の中で、SDGsゴール 6(安全な水とトイレを世界中に)を達成するためのリーダーシップの重要性と「プノンペンの奇跡」として知られる改革の実績や、カンボジア地方部への波及効果を説明し、水道事業体のガバナンスとマネジメントの重要性が強調されました。
続いて、JICA地球環境部より1)アフリカにおける幹部フォーラムや第三国研修の成果やアクションにつながった事例紹介、2)強靭で持続可能な水道サービス実現のために、参加者が目標を共有する「水道一家」(Water Family)として共に学び合うことへの期待、3)クラスター事業戦略「水道事業体成長支援」の開発シナリオとなっている水道事業の発展段階に触れ、参加者それぞれの発展段階に応じた学びを得るとともに、より進んだ段階にある参加者は後に続く段階の参加者に知見・経験を共有してほしいとメッセージを送りました。
その後、セッション1「リスクと変化に強靭な水道事業に向けて」として、気候変動が水道水源に及ぼす問題(塩水遡上、干ばつなど)、コロナ等の感染症対策、災害対策などについて、6 件の発表とグループディスカッションを実施しました。短期・中期・長期の対策を考慮した計画策定などの備えが必要であること、リスクへの対処には資金が必要なため適切な水道料金の設定が重要ですが、適時の改定が難しい課題となっていることが共通認識として確認されました。
2日目は、セッション2「SDGsゴール6の達成に向けて」として、パート 1「サービス向上、顧客とのコミュニケーションの改善、料金改定」とパート 2「資金調達」に分けて、合計 9 件の発表とグループディスカッションを実施しました。水道事業における総括原価方式の重要性と料金改定の難しさ、水資源政策を含む中長期マスタープランの必要性、無収水削減の重要性、資金調達のための民間参入の検討などが議論され、何よりも水道事業の経営を改善することが重要であり、それが SDGs ゴール 6を達成するための資金調達のベースとなることが確認されました。
3日目は、参加者が2つのグループに分かれ、株式会社クボタ、横河ソリューションサービス株式会社への視察に参加しました。日本企業の質の高い技術力や製品について、多くの参加者より感嘆の声が上がり、「質の高いインフラ」について改めて理解を深めていただく機会になりました。
4日目は、セッション3「連携と共創」として、5 件の発表とグループディスカッションを実施し、国内の水道事業体間の協力、民間セクターとの連携、他国との連携等、パートナーシップの重要性が確認されました。
最後の総括セッションでは、幹部フォーラムを通じて得た学びや気づきを、今後母国の水道事業にどのように活かしていきたいか、各国よりアクションプランとして発表いただきました。その後、本フォーラム座長である東京大学大学院工学系研究科 滝沢智教授より『「何をすべきかを知っていること」と「何をすべきかを実行していること」とは異なる。SDGs ゴール 6 の達成のために大胆であることを恐れずやるべきことを実行して欲しい』という参加者への熱いメッセージをいただきました。
閉会には、山岡秀一横浜市水道局長、森田隆博 JICA 地球環境部長より挨拶が行われ、4日間にわたる熱い議論は幕を閉じました。
また、フォーラム期間中は、横浜市水道局及び横浜水ビジネス協議会のご協力により、登録企業5 社からのプレゼンテーション、及び9社によるパネル常設展示が行われ、多くの参加者より各企業に対して積極的な質問や具体的な相談がなされていました。
幹部フォーラムを通じ、アジアの幹部からは、各国の異なる背景の中でも共通する課題を抱えていること、成功・失敗事例の共有を通じて共に解決策を探し事業の改善を図ろうという発言が多く聞かれました。JICAは今後も引き続き各国によるアクションプランの実行状況等を共有するオンライン会議を実施するなど、フォローアップをしながら、アジアから共創する強靭で持続可能な水供給サービスを実現するための支援を行っていきます。
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