IDBグループ・パートナーズフォーラム2024で武藤上級審議役が基調講演「気候レジリエンスの強化」
掲載日:2024.06.28
イベント |
会議名:IDBグループ・パートナーズフォーラム2024 「気候レジリエンスの強化」セッション
開催日:2024年4月18日
主催者:米州開発銀行(IDB)
場所:IDB本部(ワシントンD.C.)
基調講演:JICA武藤めぐみ上級審議役 / チーフサステナビリティオフィサー(CSO)
モデレーター:IDBセルジオ・ラカンブラ自然災害リスク管理セクター・プリンシパル・スペシャリスト
パネリスト:
IDBフアン・ホセ・デュランテ プリンシパル金融市場スペシャリスト
IDBカロリーナ・フレール シニア社会保障・保健スペシャリスト
FCDO(外務・英連邦・開発省)マルコム・ギール カリブ海開発ディレクター
IDBグループ・パートナーズフォーラムは、IDBの多様なパートナーを交えラテンアメリカ・カリブ海地域(LAC)が直面する地球規模課題への共同取組を共有し、パートナーシップ促進を図ることを目的として、隔年で開催されています。
「気候レジリエンスの強化」(Strengthening Climate Resilience)に関するセッションでは、JICAやIDBなどドナーの災害リスクに対応するの取り組みを紹介し、民間金融機関を含むパートナーと連携して革新的な気候変動ファイナンスを検討する重要性が議論されました。JICAからは武藤上級審議役が基調講演を行いました。
武藤上級審議役は基調講演において、地震、津波等の自然災害に直面する日本と中南米・カリブ(LAC:Latin America and the Caribbean)地域の共通性、地域社会のレジリエンス強化が自然災害の負の影響軽減において重要であることを強調しました。そして、仙台防災枠組2015-2030が重視する、①事前の災害リスク評価、②災害リスクガバナンス強化、③事前の防災投資と④「より良い復興」(Building Back Better: BBB)に民間金融機関を含むパートナーと協調して取り組む必要性を指摘しました。
JICAによる支援の特徴として事前の災害リスク削減(DRR)に力点を置いているとし、パートナー国の構造物対策、非構造物対策を含むガバナンス強化、BBBの推進への協力を実施していることが紹介されました。ファイナンスの具体的例としては、フィリピンへの「災害復旧スタンド・バイ借款」が挙げられ、災害発生前にクレジットラインを確保しておくことで、万が一災害が発生した際には世界銀行やアジア開発銀行とも調整しつつ、資金ニーズへの迅速な対応が可能となったことが挙げられたほか、円借款事業等による洪水対策インフラ整備や技術協力による中央官庁や地方自治体の能力強化等支援が挙げられました。LACでは、ブラジルの土砂災害構造物対策能力向上に関する支援、エルサルバドルとペルーへの「災害復旧スタンド・バイ借款」の供与、チリを拠点とした防災分野における中南米地域の人材育成(通称KIZUNAプロジェクト)についても触れられました。
最後に、IDBなど開発パートナーとの将来の連携可能性として、パートナー国の災害リスクガバナンスに関する能力強化や、災害発生時の流動性供給、災害リスク削減のための質の高いインフラ整備、革新的な気候変動ファイナンスの検討などが挙げられました。
続くパネルディスカッションでは、IDBの登壇者がDRM行動計画2024-2025や、気候変動の緩和策支援を目的とした革新的な災害リスクファイナンスとリスク移転手法などが紹介され、気候レジリエンス強化において志を同じくする組織や起業家、民間金融機関と密に連携し革新的な解決策を模索する重要性が確認されました。
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