TICAD9プレイベント:JICA・アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)オープンセミナー「日本・アフリカの協力・共創のこれまでとこれから」を開催しました
掲載日:2024.10.09
イベント |
開催日:2024年10月2日
共催機関:JICA、アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)
場所:JICA竹橋会議室およびオンライン(ハイブリッド開催)
・開会挨拶:安藤直樹JICA理事
・基調講演:
ナルドス・ベケレ=トーマスAUDA-NEPA長官
アミン・イドリス・アドムAUDA-NEPAD貿易・コネクティビティ・インフラ担当局長
・TICAD30周年報告書案概要の説明
梁瀬直樹JICAアフリカ部長
・パネル・ディスカッション:
上野修平JICAアフリカ部次長
エステリン・フォタボングAUDA-NEPAD農業・食料安全保障・環境サステナビリティ担当局長
西野修一・外務省アフリカ第一課長
高橋基樹・京都大学教授
砂原遵平AUDA-NEPAD地域統合専門家(JICA企画調査員)
アマニ・グイザニGPSSエンジニアリング・設計・アシスタントマネージャー(ABEイニシアティブ卒業生)
・参加者
対面者参加者約100名、オンライン参加者約180名
アフリカには、高い経済成長率や増加する若い人口などに代表される可能性と、政治・経済面の不安定さなどの課題が認識される中、2025年8月に横浜でTICAD9が開催される予定です。TICAD9は日本とアフリカの双方にとって様々な協力・共創の機会となることが見込まれます。
今回、JICAとアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)の年次協議のために同庁長官が来日する機会をとらえ、また両機関の業務連携覚書(MoC)10周年の節目として、これまでの日本とアフリカの開発分野における協力・共創について振り返るとともに、来年のTICAD9に向けた課題や期待について議論することを目的として、オープンセミナーを行いました。
本セミナーでは、アフリカの開発目標であるアジェンダ2063や過去30年間のTICADプロセスの成果等を振り返ったTICAD30周年報告書の概要を説明し、またJICAやAUDA-NEPADの関係者、日本政府代表者、日本で活躍する元ABEイニ生、有識者らによるパネル・ディスカッションを行いました。閉会後は、アフリカ・インフラ開発・プログラム(PIDA)10年実施報告書およびPIDA 優先行動計画(PAP)フェーズ2事業概要の日本語版のローンチも行いました。
冒頭、安藤直樹JICA理事から、1)1993年から始まったTICADにおいてはアフリカのオーナーシップの重要性が指摘されてきたが、これを具現化するものとして2001年にNEPAD(アフリカ開発のためのパートナーシップ)が開始され、それが今のアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)に引き継がれていること、2)そのAUDA-NEPADとJICAは業務連携覚書を2014年に締結しており今年が10周年になること、3)来年にはTICAD9が予定される中でAUDA-NEPADと共に日本・アフリカ協力を振り返るためにも本セミナーを開催したこと、などを述べました。
安藤JICA理事
ベケレ=トーマス長官による講演
ナルドス・ベケレ・トーマスAUDA-NEPAD長官からは、1)過去のアフリカは危機の大陸であったが今は成長、イノベーション、機会に溢れた大陸であること、2)だからこそ海外直接投資も増えており、さらなる成長のためには資金が必要とされていること、3)日本の協力により多くの成果が生まれていること、などを述べました。続いて、アミン・イドリス・アドム貿易・コネクティビティ・インフラ担当局長から、AUDA-NEPADが推進するアフリカ大陸のインフラ開発政策である「アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)」についての説明がありました。
アドム貿易・コネクティビティ・インフラ担当局長
続いて梁瀬直樹JICAアフリカ部長から、JICAとAUDA-NEPADで共同実施している報告書案の概要として、JICAとAUDA-NEPADの5つの連携分野(地域統合、アフリカ・カイゼン・イニシアティブ(AKI)、食と栄養のアフリカ・イニシアティブ(IFNA)、アフリカ企業育成・社会課題解決(Home Grown Solutions)、研究協力(Policy Bridge Tank))の概要やこれまでに確認された成果等について説明がありました。
梁瀬JICAアフリカ部長
上野修平JICAアフリカ部次長がモデレーターとなり、パネル・ディスカッションが行われました。
これまでの日本とアフリカ協力について、エステリン・フォタボングAUDA-NEPAD農業・食料安全保障・環境サステナビリティ担当局長からは、オーナーシップの尊重、長期間のコミットメント、頻繁なコミュニケーションが成功のカギである旨言及があった他、砂原遵平AUDA-NEPAD地域統合専門家(JICA企画調査員)からは、アフリカ自身の計画を前提として、それを日本の協力によりデータ等で「見える化」することの重要性について言及がありました。アマニ・グイザニGPSSエンジニアリング・設計・アシスタントマネージャー(ABEイニシアティブ卒業生)は、ABEイニシアティブにより日本に留学し、その後に日本のアフリカODA案件に関与した経験から、人材育成が日本の対アフリカ協力の強みである旨述べました。
パネルディスカッションの様子
西野修一・外務省アフリカ第一課長からは、オーナーシップ、人への投資、民間セクターの活用、知のプラットフォーム、平和と安定、そしてTICADにより日本・アフリカの課題をグローバルなものにするなどの特徴について説明がありました。高橋基樹・京都大学教授は、課題に対する解決アプローチは一つではなく複数存在すると捉え、アフリカ側のオーナーシップを尊重して「現場」から生まれた解決アプローチを重視することが日本の協力の特徴である等述べました。
会場の様子
その後、今後の日本・アフリカ協力について、各パネリストからそれぞれの経験を踏まえての期待等が述べられました(アフリカ自身による計画策定と実施、包括的農業政策やブルーエコノミー等の政策、成長に資するインフラ協力やABEイニシアティブ卒業生のさらなる関与、インフラと産業を繋げるなどの横断的要素の連結性、「現場」の知見の活用、アジェンダ2063へのさらなる貢献、日本・アフリカ双方向での共創など)。また、最後には参加者との質疑応答も行われました。
安藤理事およびベケレ=トーマス長官により、アフリカ・インフラ開発・プログラム(PIDA)10年実施報告書およびPIDA優先行動計画(PAP)フェーズ2事業概要報告書の日本語版のローンチが行われました。
安藤理事(左)とベケレ長官(右)
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