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【イベントレポート】カリブ映画上映会

掲載日:2024.11.25

イベント |

11月10日、地球ひろばにて、「カリブ映画上映会 映画とトークで巡るーカリブの暮らし・自然・音楽」が開催されました。

日本・カリブ交流年の一環で午前の部では、JICAセントルシア支所職員と前所長によるトークセッション、トリニダード・トバゴを舞台にした映画「カリプソ・ローズ」の上映が行われました。午後の部では、ベリーズ初のアニメーションフィルム「テクアニとドゥエンデ」の上映と元海外協力隊員によるトークセッションが行われました。

セントルシアはカリブ海に浮かぶ人口約18.3万人の、淡路島とほぼ同じ大きさの小さな国です。美しいビーチが観光客に人気で、特にアメリカから多くの観光客がやって来ます。アフリカ系の住民が非常に多いのが特徴ですが、混血や東インド系の住民もいます。セントルシア支所の漆畑さん、傍嶋さんと中継をつなぎ、またセントルシア前支所長の三村さんに会場にお越しいただき、カリブのチョコレートや美しい海、海賊、趣味など、多様な側面からお話しいただきました。カリブ地域のチョコレートというと馴染みがなく聞こえますが、現在世界で流通している3大カカオは、全て中南米・カリブが原産地です。セントルシア産のカカオを使用したショコラティエ「ホテルショコラ」は日本にも複数の店舗があり、遠いカリブの味を、気軽に身近に感じることができます。

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漆畑さんによるチョコレート紹介

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傍嶋さんの趣味「ブラジリアン柔術」の道場での様子の紹介。セントルシアでも柔術仲間と楽しく趣味に没頭していると、笑顔でお話しされました。

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三村さんからはカリブの海賊の歴史と、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に使われたセントビンセント及びグレナディーン諸島のロケ地について。

トリニダード・トバゴとフランスで2011年に制作されたドキュメンタリー映画「カリプソ・ローズ」は、トリニダード・トバゴ発祥の音楽であるカリプソの女王と言われるカリプソ・ローズの人生を、カリブの文化、歴史、フェミニズム、人種問題といったさまざまな角度から紐解いていく内容です。彼女は、男性中心だった音楽業界の中で、カリプソを通じて女性の人権をはじめとする社会問題を提起し、カリブ諸国における女性の地位向上に寄与しました。また、アフリカからカリブ諸国に奴隷として連れてこられたローズの先祖の足跡をたどることで、現在のカリブ地域において、植民地支配と奴隷貿易という負の歴史を経て形成された文化の多様性や独自性を感じ取ることができました。苦難の多い彼女の人生の中でも、明るいカリプソ音楽が彼女の力強さを作っていく姿が描かれ、カリプソ・ローズやカリブ地域について理解を深めることができました。
の皆様からは「奴隷の先祖とか、感慨深い感じを不思議な感覚だろうと思いを馳せました。」「西インド諸島に生きているアフリカルーツの人々の抱えるものがよくわかりました。カリプソ・ローズの歌が素敵でした。」といった感想を頂きました。映画中で何度も流れた、彼女の代表曲である「Israel by bus」はYouTubeでも聞くことができますので、ぜひ一度聞いてみてください。

午後の部で取り上げたベリーズは、人口40.5万人で面積は四国より少し大きい程度の国で、中米の北東部、カリブ海に面した地域に位置しています。世界有数のサンゴ礁やマヤ文明遺跡が観光客に人気です。

「テクアニとドゥエンデ」は環境保全をテーマにしたベリーズ初のアニメーション映画で、ベリーズにおける森林資源の重要性や生物多様性について学ぶことができます。人々の営みがどのように自然に影響しているのか、そして同じ問題をなぜ繰り返すのかを考えさせられます。ベリーズは森林資源と同様に海洋資源の保全も重要政策としており、「Blue Economy」政策を行っています。この概念は、海洋生態系の健全性を維持しながら、経済成長や生活向上のため持続可能な海洋資源の利用を行うことを指します。このことからも分かるように、ベリーズは環境資源の保全に注力しており、JICAも環境分野への支援や協力隊を派遣し、協力関係を深めています。

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「首都は?」「ベリーズの国鳥は?」など、カリブの小さな国を想像しながら、和気あいあいと盛り上がったベリーズクイズ大会。

JICAは2000年から海外協力隊の派遣を始めており、2023年度までで累計203名の協力隊が派遣されています。
トークセッションでは、ベリーズで海外協力隊として活動された吉村さん、木村さん、加藤さんにご登壇いただき、協力隊でのご経験や、食や遊び、文化を含めベリーズでの暮らしについてお話していただきました。

吉村さんはPCインストラクターとして、学校で児童や教師へのパソコンの指導から授業で使うパソコンの修理まで行い、ベリーズのパソコン教育の普及に貢献されました。木村さんは、「環境教育」隊員として学校を中心に環境教育を行い、ごみ箱のデザインを競うコンクールなどを通して環境への意識の向上に取り組みました。また特技を活かして日本文化の普及活動やサッカー監督を務めるなど、業務以外でもアクティブに活動されました。加藤さんは「行政・事業マネジメント」の職種で町役場に勤務され、環境活動から文化活動、イベントの運営など幅広くご活躍されました。勤務先の町役場で行われるミスコンでは参加者の女性たちに浴衣を着付けし、とても喜んでいただいたと、ベリーズでの文化交流について楽しそうにお話しされたのが印象的でした。様々なテーマの写真をお見せいただき、参加者とのインタラクティブな対話を踏まえ、協力隊の具体的な活動やベリーズの文化や生活などについて理解を深めていただくことができました。

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元海外協力隊員による、ベリーズの自然風景の紹介。美しい海や、カカオの木など。元隊員吉村さんのベリーズ洞窟探検のお話には会場一同も興味津々。

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ベリーズで定番のライス・アンド・ビーンズ(左上)や人気のタコス(中央)

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環境教育隊員として活動された木村さんは、ごみのポイ捨て対策として、地域に大切にしてもらえるゴミ箱を設置すべく、地域の子供たちとゴミ箱アートのコンペティションを実施。

今回のイベントでは、映画と現地を体験した方々とのトークを通して日本から遠く離れなじみの少ないカリブ地域の国々と日本との繋がりや文化、社会について理解を深める貴重な機会となりました。

来る2025年大阪・関西万博には、初参加国を含め中南米地域から23か国が参加を表明しており、カリブ諸国からは12カ国の参加が予定されています。中南米・カリブ地域の文化理解や関心の向上や日本との関係がより強まることが期待されています。
ご興味を持たれた方は、万博にもぜひ足を運んでみてください。

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レポーター:中米・カリブ課インターン 菅原朱莉