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【COP29サイドイベント】ネット・ゼロとNDC - アジアにおける科学に基づく気候政策立案とその実施

掲載日:2024.12.16

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
日比谷 遼 地球環境部環境管理・気候変動対策グループ 専門嘱託

概要

開催日: 2024年11月18日
主催: 環境省・地球環境戦略研究機関(IGES)
共催: 国際協力機構(JICA)・国立環境研究所(NIES)・マレーシア工科大学(UTM)
会場名(パビリオン名):ジャパン・パビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
藤野 純一 地球環境戦略研究機関(IGES) プログラムディレクター
松澤 裕 環境省 地球環境審議官
行木 美弥 環境省 地球環境局 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官
ファリナ・アーメド バングラデシュ環境森林気候変動省(MOEFCC) 事務次官
プーヴォン・ルアンセイサナ ラオス天然資源環境省(MONRE) 副大臣
チャンタサクル・スピラック タイ気候変動環境局(DCCE)気候変動緩和行動課 上級専門職レベル環境担当官
ユリア・スルヤンティ インドネシア環境林業省(MOEF)  気候変動緩和担当ディレクター
福田 幸司 JICAベトナム パリ協定に係る「自国が決定する貢献(NDC)」実施支援プロジェクト(SPI-NDC) 長期専門家
ホー・クオック・バン ベトナム国家大学 ホーチミン市校(VNU-HCM) 教授/環境資源研究所 所長
ウォラヌッチ・スアイカカオ バンコク首都圏庁(BMA) 環境局副局長
ホー・チン・ション マレーシア工科大学(UTM) 教授/低炭素アジア研究センター(UTM-LCARC) センター長
三戸森 宏治 JICA 企画部 サステナビリティ推進室(気候変動、自然担当)副室長 兼 地球環境部参事役

背景・目的

本イベントでは、アジアの複数国の政策担当者や実務者から、各国での科学に基づく長期戦略の策定やNDC更新の状況を共有する。また、開発援助機関による長期戦略やNDCの実装、それを可能にする能力強化の進展状況を紹介し、ネット・ゼロアジアの実現に向けた協力のあり方について議論する。

内容

パート1では、はじめに環境省の松澤地球環境審議官が、昨年のCOP28でのグローバルストックテイクの成果文書に触れ、全ての締約国が2025年に提出する次期NDCが1.5℃目標に整合する必要があると述べました。日本は各国と協働し、政策オプションを評価して削減シナリオを提示する「アジア太平洋統合モデル」(AIM)を活用し、各国の長期戦略の策定やNDCの更新に貢献するとともに、都市でのより野心的な計画作りに取り組んでいることを紹介しました。

次に環境省地球環境局の行木国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官がアジア各国の気候変動対策支援には、日本政府や研究機関等が一体となり「チームジャパン」で取り組んでいることを強調し、AIMチームは低炭素社会実現に向けたアジア各国との共同研究を今後更に深め、脱炭素社会の実現に向けた取組みを一層進めていくと述べました。

続けて、バングラディシュ、ラオス、フィリピン、タイ、インドネシア各国の代表が順に、自国の次期NDCや長期戦略策定に向けた取組みの状況と課題を、主要セクターに言及して発表しました。その中ではAIMモデルの適用や、各国がAIMチームとこれまでに行った共同研究を紹介し、科学的目標設定におけるAIMモデルへの期待を示しました。

JICAパリ協定に係る「自国が決定する貢献(NDC)」実施支援プロジェクト(SPI-NDC)の福田チーフアドバイザーからは、計画→実装への移行ギャップを埋めるための具体的施策や教訓について、ベトナムのNDC支援経験に基づき紹介した上で、中進国化が進むアジアにおいて国内人材を育成し自立性を後押しするには、開発援助機関の触媒としての役割がより重要となる点を指摘し、パート1を総括しました。

パート2では、はじめにベトナム国家大学ホーチミン市校(VNU-HCM)ホー教授が、JICA SPI-NDC事業の一環として、ベトナムにおけるNDC施策の大気汚染削減効果の評価について、ハノイ市のEVバス導入を事例に挙げて発表しました。

バンコク首都圏庁(BMA)環境局副局長のウォラヌッチ氏は、2007年から続くバンコク都マスタープラン事業における、日本からの密接な支援に謝辞を述べた上で、今後も2050年のネットゼロを目指した包括的な取組みを続けるとしました。

マレーシア工科大学(UTM)のホー教授は、マレーシアの主要都市ごとの気候アクションプランを紹介し、マレーシアの都市におけるネットゼロは複雑ではあるが達成可能だとしました。

最後にJICA企画部サステナビリティ推進室の三戸森副室長は、それぞれの国がネットゼロに向けて科学的シナリオ策定を行う現状を称え、JICAも日本のパートナーと協力してアジアの気候変動対策支援を継続して行うと述べ、閉会の挨拶としました。

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集合写真

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閉会挨拶を行う三戸森副室長

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パート1を総括する福田長期専門家