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【COP29サイドイベント】次世代の気候資金 - 気候変動とサステナビリティのためのシステム変革

掲載日:2024.12.16

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
高橋 良輔 企画部 調査役

概要

開催日: 2024年11月14日
主催: 国際開発金融クラブ・国連環境計画ファイナンスイニシアティブ共催
会場名(パビリオン名):国際開発金融クラブ(IDFC)パビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
武藤 めぐみ JICA 理事長特別補佐
ハビエル・ディアス コロンビア貿易銀行 総裁
セルゲ・エクエ 西アフリカ開発銀行(BOAD) 総裁
レミー・リウ フランス開発庁(AFD) 総裁
タムシン・バラード 国連責任投資原則(PRI)事務局 チーフ・イニシアチブ・オフィサー
エリック・アッシャー 国連環境計画・ファイナンスイニシアティブ(UNEP FI) UNEP FIヘッド
クレア・エスカリエ Mainstreaming Climate in Financial Institutions事務局 事務局ヘッド
メラニー・ロビンソン 世界資源研究所 気候・経済学・ファイナンス・グローバルディレクター
ナンシー・ヴァンディッケ 世界銀行 上級気候変動アドバイザー
アルゴ・シンハ・ロイ アジア開発銀行(ADB) 気候変動適応課長
エイミー・ルイス 米州開発銀行(IDB) 気候変動事業上級スペシャリスト

背景・目的

  • COP29に合わせて、JICAが加盟する国際開発金融クラブ(IDFC)は、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)や国連責任投資原則(PRI)等と新たな気候資金目標に対する見解として、「Making Finance Work for Climate」という共同文書を発表。
  • 同共同文書の公表に際し、関係者での合同イベントを開催したもの。

内容

  • AFDのリウ総裁は、共同文書の中でも言及されたTransformational Financeとの関係で、パリ協定の2条1項に記載のとおり、金融システム全体の変革が鍵であるとした上で、同時にプロジェクト単位での革新的なリスク軽減も重要であるとしました。また、広い地域の官民の金融機関が共同文書を公表したことに意義があるとしました。
  • コロンビア貿易銀行のディアス総裁は、MIGAによる炭素市場の支援や米州開発銀行によるアマゾン保護に関する債券発行を例としてTransformation Financeの重要性を強調しました。
  • PRIヘッドのバラード氏は、年間2.4兆米ドルの投資が新興・途上国(中国を除く)がエネルギートランジションには必要であるという背景を示した上で、投資障壁の解消、自国が決定する貢献(NDC)の実施に向けた体制強化等が必要であるとし、野心度の引き上げが民間企業に対してもシグナルになると発言しました。
  • 世界資源研究所のロビンソン氏は、各国が気候変動と自然を開発計画の中核に据えることが重要であるとした上で、投資を行うためには、パイプライン案件を増やすことや触媒としての資金の活用や金融システム自体の変革が重要になるとしました。
  • 世界銀行のヴァンディッケ氏は、1200億米ドル規模の気候資金が国際開発金融機関(MDBs)により低中所得国に供与されるとした上で、長期戦略等の政策支援を行うことも重要としました。また、気候に係る成果を測定するための共通アプローチを纏めたとし、インパクトを考慮した上での資金供与の検討が重要としました。
  • UNEP FIのアッシャー氏は、気候に資する民間投資が途上国が流れていくための環境整備・市場形成が重要であり、そのためにはブレンデッド・ファイナンスも必要としました。また、事業レベルでのパリ協定の目標への整合に加えて、事業体レベルで移行計画を実行していくことが重要であるとしました。
  • 武藤理事長特別補佐は、マルチセクターでの取り組みが重要であり、シナジーとトレードオフを対応していくことが重要としました。共同文書の策定に際して、JICAからは技術協力の重要性を強調したことを紹介しました。
  • Mainstreaming Climate in Financial Institutions事務局のエスカリエ氏は、インパクトの測定は必ずしも容易ではないとした上で、インパクトを把握することがトランジションのためには必要であるとし、顧客へのエンゲージメントが重要だとしました。
  • ADBのアルゴ・シンハ・ロイ氏は適応・強靭性も重要であるとした上で、ファイナンスを行うための障壁を埋めるための施策として、適応の成果測定や適応に関する世界全体の目標と整合させていくことに加え、政策借款や開発金融借款等を活用すること等を紹介しました。
  • IDBのルイス氏は、気候資金の強化のためには、インセンティブを高めるための仕組み作りが重要であるとした上で、システムレベルでの変革を生み出すことが重要としました。政策借款や技術支援が制度面での変革をもたらす点で有益であるとしました。

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登壇者集合写真