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【COP29サイドイベント】公正な移行(トランジション)に向けたファイナンス:アジアにおけるカーボンニュートラルの加速に向けて

掲載日:2024.12.16

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
高橋 良輔 企画部 調査役

概要

開催日: 2024年11月15日
主催: JICA
会場名(パビリオン名):国際開発金融クラブ(IDFC)パビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
武藤 めぐみ JICA 理事長特別補佐
池田 賢志 金融庁 チーフサステナブルファイナンスオフィサー
髙梨 雅之 三井住友フィナンシャルグループ グループCSuO
クリスチャン・デゼグリーズ HSBC サステナブルインフラ・イノベーションヘッド
プラダナ・ムルティ インドネシアインフラ金融公社(PT-SMI) リスク管理部長
ハーヴェ・ブレトン フランス開発庁(AFD) 上級気候ファイナンス・スペシャリスト

背景・目的

  • アジアにおけるカーボンニュートラルへの公正な移行(Just Transition) を促進するためのファイナンスに関する議論の促進を目的とするもの。
  • アジア経済の急成長を踏まえ、ネットゼロという共通の目標を達成する上での多排出産業(Hard-to-Aabate セクター)へのファイナンスについて議論しました。

内容

  • 開会にあたり、JICAの武藤理事長特別補佐より、アジアが世界の温室効果ガスの過半を排出していることを紹介するとともに、マネージド・フェーズアウトが必ずしも容易ではないことを言及しました。同時に、シンガポール政府によるFAST-P(Financing Asia's Transition Partnership)等の動き等、様々な動きがあり、官民の関係者での連携が重要であると述べて、開会しました。
  • キーノートスピーチとして、金融庁池田チーフサステナブルファイナンスオフィサーより、JICAも参加するアジアGXコンソーシアムを含む金融庁のトランジション・ファイナンス推進に係る取組や課題感が紹介されました。
  • パネルディスカッションでは、PT-SMIムルティ氏よりhard-to-abateセクターの脱炭素化の難しさを紹介するとともに、国が決定する貢献(NDC)に基づき再生可能エネルギーを増強していくための民間資金動員の必要性やインドネシア国内でのタクソノミーの普及につき言及がありました。また、PT-SMIが関与するSDG Indonesia OneやETM Coutry Platform、地熱発電案件の経験を振り返りながら、資金のコミットメントだけでは十分ではなく、事業の実現までに目を配ることの必要性も指摘しました。
  • HSBCデセグリーズ氏からも、同社のネットゼロに向けた移行計画に基づく3つの柱を紹介し、ネットゼロに向けた取組は機会にもなるとしました。ファイナンスは脱炭素に向けた解決策を構成する一つでしかなく、政策等の策定が必要であるとしました。また、HSBCの革新的ファイナンスの経験として、PentagreenやFAST-Infraといった取組や教訓を共有しました。
  • AFDブレトン氏より、開発機関として自らのファイナンスの流れをパリ協定に整合させるだけでなく、途上国におけるファイナンスの流れをシステムレベルで整合させるように取組を行うことが重要であるとし、長期戦略策定等の政策支援を行っていることを紹介しました。実際にAFDが開発政策借款やその他の案件を組成する際にもこうした観点が重要と指摘しました。
  • 三井住友フィナンシャルグループの髙梨CSuOより、Transition Finance Playbookや同Scorebookの策定経緯や策定後の経験を紹介し、アジアの実情や水素ファンドへの投資事例、アジアに投資家を巻き込んでいくことの重要性を紹介しました。公正な移行を検討するためのワーキンググループを設置したことも紹介されました。

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