日本では初の開催となる「インドネシア・日本人材フォーラム2024」を実施
掲載日:2024.09.17
イベント |
2024年9月5日、独立行政法人国際協力機構(JICA)は、インドネシア共和国労働省との共催のもと、インドネシア・日本人材フォーラムをJICA市ヶ谷国際会議場にて開催し、会場、オンライン合わせ約340名が参加しました。2023年11月にジャカルタにて開催された第1回フォーラムでは、インドネシア労働省とJICAの間で、①日本の就労情報の発信、②日尼官民関係者の意見交換プラットフォームの設置、③日本語教育、④技能訓練などの課題に対し、協力して取り組んでいくための協力覚書を締結しました。2回目となる今回のフォーラムでは、協力覚書に記載の課題に関連し、両国の取組進捗を報告すると共に、関係者間での意見交換を通じた人材の送出・受入に係る課題の共有が行われました。
フォーラム開会にあたり、JICA田中理事長、イダ労働大臣、ヘリ駐日インドネシア大使から、今後のインドネシアからの日本への送出促進に資する情報共有・意見交換の機会となるよう、本フォーラムへの期待が述べられました。
続いて、基調講演では、両国の取組に係る最新の情報共有として、丸山出入国在留管理庁長官から育成就労制度の概要、特定技能制度の対象分野追加に係わる説明が行われました。また、インドネシア労働省のアンワール事務次官からインドネシアにおける労働現況やインドネシア人海外就労者保護措置に関する共有がなされました。
続いて、協力覚書に基づく進捗報告の場では、インドネシア労働省より送出機関調査の結果や還流人材の対応が説明されました。JICAからは、青年海外協力隊派遣による日本語教育支援や新規実施予定の技術協力プロジェクト(介護、水産分野)による技能訓練支援を中心に進捗報告を行いました。
パネルディスカッション「受入・送出実務上の課題」では、インドネシア労働省、厚生労働省、出入国在留管理庁、独立行政法人国際交流基金をパネリストに迎え、各パネリストより最新の活動実績を共有いただいた後、多くのステークホルダーが実務上の課題として直面している特定技能評価試験実施の回数/開催地の限界や、育成就労制度導入に伴う最新情報へのアクセスの難しさ、日本側の求人情報とインドネシア側の求職者情報のマッチングにおける課題について意見交換を行いました。議論の中では、インドネシアと日本のハローワークの連携の可能性や、マッチング機能を備えるインドネシア労働省の雇用市場センターの認知度向上と活用促進について意見交換がされました。
パネルディスカッション「労働者保護と人権促進」では、出入国在留管理庁、弁護士法人Global HR Strategy、インドネシア雇用社会保険庁をパネリストとして迎え、最新の活動実績、取組について紹介いただきました。その後、日本における外国人就労者の窓口となっている外国人在留支援センター(Foreign Residents Support Center:FRESC)の認知度向上と活用促進、インドネシアの社会保障制度の利用に係る課題、日本で就労する際にインドネシア人就労者が支払う手数料や来日情報の偏りなどの課題について意見交換が行われ、関連して公正で倫理的なリクルートに向けた取組(FERI)が紹介されました。
午後のセッションでは、観光(宿泊)、自動車整備、介護、自治体連携、特定技能新規4分野、その他の5つの分科会が開催され、各分野でのインドネシアにおける活動の動向やステークホルダーが抱える課題について、両国関係者で積極的な議論が行われました。
最後に、インドネシア労働省アンワル事務次官とJICA宍戸健一理事長特別補佐の両議長より、議長サマリーの発表が行われ、インドネシアから日本への人材送出の促進による両国の経済発展への貢献と、移住労働者の課題解決、および日本での適切な労働者受入れの取組を引き続き推進していくことが確認されました。
インドネシアは現在世界第4位人口をもつ大国であり、2045年までには生産年齢が人口の69%を占める人口ボーナスを迎えると言われています。これにより、内需の拡大や経済活動の活性化が期待されていますが、同時に失業率や非正規雇用も多くなる見込みであり、インドネシア政府として海外就労の促進を掲げています。海外移住労働者送出国側にとっては、自国民が海外で得たお金や技術を母国に持ち帰ってもらうことは自国の経済発展にも貢献することであり、「開発」の観点からも労働者の海外への送出促進がより重視されてきています。一方、JICA緒方貞子平和開発研究所では、日本では少子高齢化を背景に2030年には約419万人の外国人労働者の需要に対して77万人が不足すると試算しており、より多くの外国人労働者に日本を就労や生活の場として選んでもらう必要があります。外国人就労者の活躍なしには経済が成立しない時代を迎える中、就労者の権利保護、責任ある受入、多文化共生を実現するため、一層の努力が必要とされています。
日本に来る労働者の多くは主に東南アジアなどJICAが長年にわたり開発協力を行ってきた国々出身です。JICAはこれまでの開発途上国への支援で培った各国との信頼関係や人材育成のノウハウ、人間の安全保障の取り組みの経験を活かし、労働者の海外送出促進による各国の経済発展への貢献と移住労働者の課題解決、および日本での適切な労働者受入れの取り組みを推進してまいります。
(左右)丸山秀治出入国在留管理庁長官、田中明彦JICA理事長、イダ・ファウジア労働大臣、ヘリ・アフマディ駐日大使、アンワール・サヌシ尼労働省事務次官
会場参加者との記念撮影(中央:田中明彦JICA理事長、イダ・ファウジア労働大臣)
パネルディスカッションの様子
分科会(介護)の様子
scroll