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尊厳と安全のあかりを女性や少女たちへ ~ ジェンダーに基づく暴力の撤廃に向けてパナソニックと連携 ~

掲載日:2024.11.25

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ケニア カジアド県オリニエ村で実施したソーラーランタンの寄贈式

2024年11月19日 – 国際協力機構(JICA)は、パナソニック ホールディング株式会社(Panasonic HD)と協働し、ケニアの無電化地域に住む女性や少女たちに100台の環境に優しいソーラーランタンを供与しました。これまであかりのない生活を強いられてきた女性や少女たちが、このランタンによって安全に移動や活動を行えるようになります。また、夜間の学習や経済、社会活動が可能になることで、将来への希望と可能性も広がります。寄贈式では、Panasonic HDがオリニエ村にソーラーランタンを寄贈する様子を、カジアド県政府関係者やJICA関係者が見守りました。あかりがもたらす自信と希望は、女性や少女たちがジェンダーに基づく暴力(GBV)に立ち向かい、地域で積極的に声を上げ、行動する力になると期待されています。 

ケニアの南西部に位置するカジアド県のオリニエ村は、広大な草原と乾燥した土地が特徴で、多くのマサイ族が住んでいる地域です。家父長制に基づく伝統的な慣習や文化が根強い地域としても知られ、村に住む女性や少女の多くが夫や家族からのドメスティック・バイオレンスや性暴力、そして児童婚などの深刻な問題に直面しています。教育や経済的自立の機会が限られる中、女性たちは家庭や地域で支配権を持つ男性からの暴力を日常的に経験しており、地域における性暴力被害も深刻です。

このような状況に対して、JICAは2023年からカジアド県政府とともに、GBVの予防と撤廃に向けた取り組みを実施しています。オリニエ村では、多くの女性や少女がGBVの被害について声を上げることができていません。この「沈黙の文化」が課題解決や支援の提供を困難にしています。そのため、女性たちの自信を高め、知識やネットワークを強化し、経済的に力をつけていけるような支援を行っています。また、男性の理解や意識の向上や村における支援体制の強化に向けた取り組みを進めています。

Panasonic HDとの連携によるソーラーランタンの提供は、このプロジェクト活動の一環として実施しました。無電化地域で暮らすオリニエ村の女性や少女たちが、ソーラーランタンによるあかりを手にすることによって、夜間の学習や経済、社会活動が可能となります。女性たちは自信と能力を深め、GBVに立ち向かうための意識と行動を一層強化していくことが期待されています。

寄贈式には、約100名の村の女性たちに加えて、プロジェクトのカウンターパート機関である国家ジェンダー平等委員会(National Gender Equality Commission: NGEC)の議長やカジアド県の行政官たちが集結。ソーラーランタンのあかりが地域にもたらす効果や期待が続々と寄せられました。

これを受けて、パナソニックグループの多田直之氏は「このあかりで女性や少女の将来を明るく照らしてほしい」と力強いメッセージを発信。オリニエ村の女性リーダーからは「私たちのことを未来のある一人の人間として見てくれたJICAとパナソニックに心より感謝している。このソーラーランタンはこれからの私たちの人生のレベルを一段階上げてくれるものです」と感謝の言葉を述べられました。

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「このあかりで女性や少女の将来を明るく照らしてほしい」と述べる多田直之氏(パナソニックグループ)

その後、実際にソーラーランタンを手にした女性たちは、「このあかりがあれば家でも勉強できる」、「夜の活動時間が増える」と目を輝かせました。JICAプロジェクトの支援が始まって以降、村でGBVの撤廃に向けた歌づくりを始めた女性は、「夜にあかりがあればGBVの撤廃を呼びかけるための歌がもっとたくさん作れる」と嬉しそうに語りました。

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「このあかりがあれば家でも勉強できる」、「夜の活動時間も増える」と語る女性たち

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「私の手をとり、私をエンパワーしてくれたJICAに感謝している」と歌う女性たち(寄贈式にて)

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はじめての夜のあかりに思わず笑顔になる女性

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夜のあかりの下で識字教室のノートを広げる女性

ソーラーランタンの提供は、女性や少女たちの未来を照らし、より安全な地域の実現に大きく貢献するものです。世界の多くの女性や少女が、自分自身と未来に対する希望をもち、尊厳をもって安全で安心に暮らせる社会の実現に向けて、JICAは今後も様々なパートナーとの連携や知の共創を図りつつ、GBVの予防と撤廃に向けた国際協力を推進していきます。

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