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ラオス・これからの産業を担うエンジニアを育てる~ラオス国立大学工学部への施設機材供与が完工~

掲載日:2025.05.16

イベント |

2025年5月5日、ラオス無償資金協力「ラオス国立大学工学部施設及び実験機材整備計画」の完工式が実施されました。
ラオス国立大学は、1995年に設立されたラオス初の総合大学であり、工学部は国内最大規模を誇ります。

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完工式の様子

実践の場が未来の技術者を育てる

ラオス政府は持続的な経済成長のために、新技術の活用、経済基盤の多様化、生産性の向上、域内・国際サプライチェーンの再構築を開発計画に掲げています。
中でも工学分野の人材育成や、熟練した労働力を輩出することを重視しているものの、実態として産業界のニーズに応じた人材の輩出が十分にできていません。ラオス人エンジニアの専門知識・技術の不足により、エンジニアや中間マネジメント層には外国人が雇用されることもあり、ラオス国内での工学系人材の育成が課題となっています。
最も多くの工学部卒業生を輩出するラオス国立大学でも、施設や機材の不足により、十分な実験や実習の時間が確保できない状況にありました。
そこで、本協力では、研究室や実験室等の施設の整備や高電圧実験装置、万能試験機等の研究用機材の供与を行い、実践的な経験を強化できるよう協力を行いました。

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供与した機材(高電圧実験装置)

ラオス国立大学とJICA、協力の歴史

JICAは、1998年よりラオス国立大学に対し海外協力隊員を派遣したことにはじまり、工学部と経済経営学部を中心に30年近く協力を行ってきました。
2003年に東南アジアの26大学と日本の14の大学から構成される大学ネットワーク(SEED-Net)を形成し、ラオス国立大学工学部の教員約200名の修士・博士号取得を後押ししました。
このような教員の能力強化に加え、IT分野の学士課程カリキュラムや指導教材の開発をラオスの市場ニーズに合致した内容とすることで、市場のニーズにマッチしたエンジニアの育成に協力してきました。
また、2001年には同大学内にラオス日本センターが開設され、民間企業とも連携してビジネス人材のネットワークを構築し、ラオスのビジネス人材育成に貢献しています。2025年5月には「J-cert生活・職能日本語検定」の本格的な実施も開始します。

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完工した工学部施設

参考:事業概要

本協力は、ラオス国立大学工学部における研究活動に必要な施設・機材の整備を行い、教育や研究環境を改善することにより、ラオスの産業を担う人材育成を目指すものです。また、技術協力「産業発展のための工学人材強化プロジェクト」や「工学系教育強化」を通し、本事業で整備した施設や機材を活用し実験や産業連携などを取り入れた実践的な教育を行えるように、東京科学大学と連携しながら協力を行っています。