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【COP30サイドイベント】Resilience Now: 中南米・カリブ地域の適応ギャップを埋めるために

掲載日:2025.12.05

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
髙橋良輔 企画部 主任調査役

概要

開催日:2025年11月10日
主催:米州開発銀行
会場名(パビリオン名):米州開発銀行グループパビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
稲田 恭輔 JICA サステナビリティ推進担当特命審
アルフレッド・グリュンヴァルト IDB Climate Change Solutions Acting Division Chief
スベンヤ・サーミンスキー博士 気候・サステナビリティ担当マネージングディレクター Marsh McLennan
アロイジオ・ロペス・ペレイラ・デ・メロ ブラジル環境・気候変動省 総局長
エダルミ・ピネロ   ベリーズ気候変動担当官

背景・目的

米州開発銀行(IDB)グループは、最新報告書「Resilience Now: Closing the Adaptation Gap in Latin-America and the Caribbean」の発表イベントを開催。本イベントでは、IDBグループが実施してきた多様な気候ソリューションに焦点を当てるとともに、適応とレジリエンス(回復力)に関すニーズと目標への対応状況を議論しました。

内容

・冒頭、スベンヤ・サーミンスキー博士が新たな報告書の内容につき説明を行い、その上でパネルディスカッションに移りました。
・ベリーズのエダルミ・ピネロ氏は、ハリケーンが発生し易い地域に位置するため、毎年災害リスクが高く、適応は最優先事項であるとし、特に資金不足、制度構造の弱さ、流動性にも起因する人材不足が大きな課題としました。気候資金を活用するためには、適応資金獲得には透明性の高いデータやレポート体制が不可欠としました。
・ブラジルのアロイジオ・ロペス・ペレイラ・デ・メロ総局長は、国として適応を優先事項とする「マインドセットの転換」が最大のハードルであるとした上で、気候リスクのデータ整備が改善しているものの、地方でのキャパシティ制約もあり投資計画策定の困難さを指摘しました。更に、限定的な財政余力の中で優先順位付けする必要があるとして、脆弱性を踏まえて、600地域を優先地域に指定し、計画・能力強化・資金アクセスを3領域を支援している例を紹介しました。
・JICAの稲田特命審議役は、適応資金には①収益を生み出しにくいと見なされおり、投資が限定的であること、②定義や基準が不明確で投資判断が難しいこと、③適応は地域の特性を踏まえる必要があり標準化が難しいと、という課題がある指摘しました。その上で、JICAとしては、①適応の主流化、②法改正を踏まえて多様化した様々なファイナンス手法による民間資金の誘導、③相手国政府への技術支援とファイナンスの併用を推進したいとしました。
・イベントの最後には、スベンヤ・サーミンスキー博士が民間セクターの中でも、大企業とスタートアップでは役割が異なり、現在は「適応経済(Adaptation Economy)」形成の動きが出始めており、気候リスク管理のための技術・サービスを提供する新興企業が増加しているとしました。これは、適応を「コスト」ではなく「ビジネス」と捉える動きが広がっており、こうしたスタートアップ企業が成長できる投資環境整備が重要だと締めくくりました。

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登壇者集合写真