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【COP30サイドイベント】「適応に焦点:準備、対応、そしてレジリエントな回復」

掲載日:2025.12.10

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
岸本紗矢子 地球環境部 専門嘱託

概要

開催日:2025年11月11日
主催:ブラジル地域統合開発省(MIDR)
会場名(パビリオン名):ブラジルパビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
伊藤 晃之 地球環境部 部長
ナウエル・アレナス・ガルシア Americas and the Caribbean, UNDRR アメリカ・カリブ地域事務所チーフ
ウオルネイ・ウォルフ・バレイロス 地域統合開発省(MIDR)国家防災・防護局(SEDEC)  
ホセ・A・マレンゴ 科学技術革新省(MCTI)-国家自然災害モニタリング・警報センター(CEMADEN)  
カミラ・グラムコウ 国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(Economic Commission for Latin America and the Caribbean) ブラジル所長

背景・目的

・災害リスク軽減(DRR)を気候変動対策の中核に位置づけ、予防的アプローチを強化する。
・適応・レジリエンス・DRR資金のギャップを解消し、脆弱国や地域主体の公平な資金アクセスを確保する。
・全社会的参加と多部門連携を促進し、ジェンダー平等・先住民知識・地域解決策を統合した包括的ガバナンスを実現する。

内容

・JICA伊藤地球環境部長から、日本は防災に係る豊富な経験と知見があり、仙台フレームワークにもそれが反映されている、JICAは特に事前防災投資を重視していること、日本とブラジルの長年の友好関係を背景に現在砂防分野での協力を進めていることを紹介。限りある気候資金や国際協力予算の中で、防災分野への投資を増やしていくためには、セクター間での資金ニーズ競争があることを十分意識し、科学的・経済学的に投資の有効性を示していくことが重要であること、気候変動のリスク・影響も加味した上で防災に係る国家レベル、地域レベルの計画を作成することが重要であり、国内においては予算に影響力を有する財務省や国会議員への説明が重要であることを説明。
全体を通して、参加者からは以下の発言があった。
・科学技術革新省(MCTI)国家自然災害モニタリング・警報センター(CEMADEN)のホセ・A・マレンゴ氏は、ブラジルで発生した災害を例に挙げ、自然変動や人為的気候変動によって災害リスクが加速していると指摘し、気候変動への適応によってそのリスクを軽減できると述べた。具体的なツールとして、ラテンアメリカで使用されているMHEWSやEWSなどのシステムを紹介し、国レベルだけでなく市民レベルでの活用を進める重要性を強調した。
・地域統合開発省(MIDR)国家防災・防護局(SEDEC)のウオルネイ・ウォルフ・バレイロス氏は、特にグローバルサウスが気候変動の影響を受け、自然災害のリスクにさらされている現状を指摘した。これは単なる脆弱性の問題ではなく、適応能力の問題でもあり、基本サービスへのアクセスが限られる貧困層が最も被害を受けると強調した。情報、教育、生活基盤を整えることで災害への準備が可能になると説明し、さらにシビルディフェンスの重要性とコミュニティ参加の必要性を訴えた。
・国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)のカミラ・グラムコウ氏は、地理的詳細を把握することの意味と重要性について述べた。