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【COP30サイドイベント】地方が牽引する気候変動対策

掲載日:2025.12.10

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
髙橋 良輔 企画部 主任調査役

概要

開催日:2025年11月14日
主催:JICA
会場名(パビリオン名):タンザニアパビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
稲田恭輔 JICA サステナビリティ推進担当特命審議役
ロガシアン・H・マティヴィラ タンザニア大統領府  
アミナ・シャアバン タンザニア財務省  
タンザニア政府、世界銀行、Carbon Tanzania等    

背景・目的

タンザニアの「Scaling-Up Locally Led Climate Action(SCALE)プログラム」は、気候変動への地域主導型対策を強化することを目的としたもので、地域コミュニティが主体となり、農業・牧畜の生産性向上、水資源保全、森林管理などの気候変動対策を実施しています。本イベントではSCALEプログラムを踏まえた、気候変動対策について議論を行いました。

内容

・パネルディスカッションに先駆け、タンザニア政府より、地域レベルの気候変動対策を強化するための仕組みづくりが示され、特に地方政府・コミュニティ・民間企業の連携が強調されました。例えば、地方自治体が持つ計画策定能力を高め、気候変動対策を地域主導で行うことや、住民がリスクを認識し、自ら解決策を決める仕組みづくり、地域の気象リスクやインフラの脆弱性を踏まえた施策を指摘しました。その上で、気候対策の実行には、透明性の高い予算管理と資金調達が不可欠であり、会計上の体制強化が重要としました。
・その上で、パネルディスカッションでは、Carbon Tanzaniaの出席者からは、15年以上にわたり森林保全プロジェクトを実施し、資金を地域へ還元した実績を紹介しつつ、タンザニアは 土地権利やガイドラインの整備が進んでおり、民間投資が実施しやすい環境になっているとの評価を共有しました。他方で、政府との協力による透明性の確保が重要。
・世界銀行の出席者は、 気候資金は世界的に需要に対して大幅に不足しており、ローカル主導での活用こそ効果が高いとした上で、ケニアの事例である「地方気候変動基金(CCCF)」を紹介し、タンザニアの「SCALEプログラム」も同様に、全国展開が見込める有望な仕組みになるとしました。
•その他、出席者からは、政策整備により土地権の明確化が進み、生活と自然保護を両立できるようになったとした上で、 自然と共生する価値観が強く、環境保護はコミュニティの暮らしと切り離せないとしました。
・最後にJICAの稲田特命審議役はコメントとして、JICAが20年以上にわたり、タンザニアの地方ガバナンスと地域開発を支援し、住民主体の参加型手法「O&OD」を推進してきたことに加え、世界銀行によるSCALEプログラムとも連携関係にあるとした上で、今後も、ファシリテーター育成、デジタル学習システム導入、好事例共有などの技術支援を継続したいとしました。