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【COP30サイドイベント】アマゾンにおける森林モニタリングのための地球観測:現在の取り組みと今後の機会

掲載日:2025.12.19

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
岸本紗矢子 地球環境部 専門嘱託

概要

開催日:2025年11月14日
主催:国際協力機構(JICA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、大学宇宙研究協会(USRA)、アメリカ地球物理学連合(AGU)、日本リモートセンシング技術センター(RESTEC)
会場名(パビリオン名):ブルーゾン サイドイベントルーム3

登壇者

氏名 所属 肩書
エルサイド・R・タラト USRA 総裁兼CEO
伊藤晃之 JICA 地球環境部部長
ロドリゴ・アントニオ・アゴスチニョ・メンドサ ブラジルIBAMA 総裁兼CEO
シルビア・クリスティナ・ロドリゲス・バラダレス ペルー気候変動庁 局長
小笠原崇道 Archeda, Inc. シニアマネージャー
デビット・ベル USRA 理事
ジーン・ピエレ・オメト INPE 主任研究員
スチュアート・ブロッケハスト・DL エクセター大学 副学長補佐兼グリーンフューチャーズ部長
志村幸美 三菱UFJ銀行 専務取締役

背景・目的

地球観測(EO)の役割を示し、アマゾン熱帯雨林での政策立案と行動に向けた事例を紹介しながら、AIを活用した持続可能で実行可能なソリューションの共創機会を議論する。

内容

・冒頭、JICAは人類が直面する環境課題やアマゾンの酸素供給・炭素貯蔵の重要性を説明し、地球観測(EO)の価値と可能性、ブラジルでの過去・今後の協力案件を紹介したうえで、地球環境問題解決にはステークホルダー間の協働が不可欠と強調した。
・Session 1では、各参加者が森林政策や環境評価の応用事例を報告。ペルー気候変動局のシルビア氏は、世界の泥炭地の約3分の1を保有し、土地利用変化が排出量の43%を占めると述べ、衛星技術とデジタル化で広域監視を強化していると説明。ブラジルIBAMAのロドリゴ氏は、JICA協力により衛星画像で伐採検出が可能になり、今後は森林回復モニタリングも進めると報告。Archedaの小笠原氏は、AIプラットフォーム「Insight」で衛星データを活用し、広域モニタリングと自然保全を推進していると紹介。USRAのデイビッド氏は、複数衛星データを統合しAIで洪水・火災・土地被覆分類を解析し、国際連携による都市支援の必要性を強調した。
・Session 2では、衛星データとAIの活用による気候変動対応を議論。モデレーターであるUSRAの小田氏は、衛星観測は重要だが唯一の手段ではなく、複数の観測手法統合の必要性を指摘。エクセター大学のスチュアート氏は、海洋観測の進展を示し、排出削減が水産資源保護の唯一の方法と強調。EOデータから海洋酸性化の大半が人為的排出によること、海洋熱波が南極緑地化などに繋がる重大リスクであることを示すとともに、アマゾンでのEO活用の重要性に言及。MUFG銀行の志村氏は、衛星とAIの組み合わせを有効な解決策とし、金融機関として投資やエコシステム構築を進める一方、ビジネス統合の難しさや経営層の理解不足を課題とした。INPEのジーン氏は、地上・航空・衛星データ統合の重要性、アマゾン監視や国際連携事例を紹介し、透明性確保と公開の仕組み構築を強調。USRAのデイビッド氏は、衛星データの利用促進に向けたユーザー分類と、単一AI基盤モデルによる統合的意思決定支援システムを紹介。
・質疑応答では、生物多様性や水質汚染への活用が議論され、PACE衛星による水質監視や、航空機・ドローンと衛星の連携による生態系解析とAI活用により、生態系にかかる可視化や評価の道が開ける可能性が指摘された。

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写真1:伊藤部長によるオープニングリマーク

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写真2:プロジェクトの成果を発表するIBAMA総裁

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写真3:サイドイベント登壇者集合写真