第69回国連女性の地位委員会サイドイベントへの参加 イベントレポート
掲載日：2025.04.24
イベント ｜
概要
第69回国連女性の地位委員会（CSW69）に合わせ、宮崎副理事長がニューヨークにおいて、2件のサイドイベントにおいてジェンダーに基づく暴力撤廃、ジェンダースマートビジネスの振興について発信しました。その後、ワシントンDCを訪問し、世界銀行ビアルディ専務理事と次回のJICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話“Deep Dive”について意見を交わしました。
詳細
1. ジェンダーに基づく暴力撤廃に係るサイドイベント
（１） イベント名（和）：オンライン・オフラインの連続体における女性と少女に対する暴力を防止するための、オンライン・プラットフォームにおける家父長的な男性性と女性差別的な規範の変革
（２） イベント名（英）：Transforming Patriarchal Masculinities and Misogynist Norms in Online Platforms to Prevent Violence Against Women and Girls Across the Online-Offline Continuum
（３） 主催：UN Women
（４） 日時：2025年3月10日16:00-17:30
（５） 内容：同イベントでは、オンライン上で増幅される女性蔑視、有害な男らしさ 等の価値観によって、オンライン・オフラインにおける女性や少女への暴力がいかに助長されているか、またその予防策について議論が為されました。開会挨拶では、JICAが「人間の安全保障」を理念とし、ジェンダー平等と女性のエンパワメントを推進する中で、ジェンダーに基づく暴力（GBV）撤廃に注力していることを強調しました。ソーシャルメディアを介して人身取引が発生する等ネガティブな面がある一方で、デジタル技術はGBV対策にも有効活用できる例として、ケニアでGBV発生時に迅速な救護を求められるアプリサービスを開発していることを紹介しました。GBV撤廃には男性の巻き込みが不可欠であり、宗教指導者や少年への啓発を行っていることも説明しました。
（６） 写真：UN Women宮崎副理事長の開会挨拶の様子（UN Women提供）
1 有害とみなされる男性の行動規範に関する考え方。例えば、男性は泣いたり、弱さを認めたりしてはいけない、という考え方。（TOXIC MASCULINITY | English meaning - Cambridge Dictionary）
2. ジェンダースマートビジネスの振興に係るサイドイベント
（１） イベント名（和）：ケアの未来：ケアサービスの大規模な提供のための女性起業家への投資
（２） イベント名（英）：The Future of Care: Investing in Women Entrepreneurs to Deliver Care Solution at Scale
（３） 主催：世界銀行、財務省
（４） 日時：2025年3月11日8:30-10:00
（５） 内容：ケアサービス（児童保育、ヘルスケア、高齢者介護等）を提供する中小企業への投資が持つ大きな経済的潜在能力について議論されました。開会挨拶では、関連する取組である「ジェンダースマートビジネスの振興」を通して、JICAが女性起業家支援、職場環境改善、女性向け製品・サービスの開発を支援していることを紹介しました。女性向け製品・サービスの開発にはケアサービスも含まれること、ケアサービス分野への投資によって女性の無償ケア労働が軽減され、女性の経済活動やウェルビーイングが増すことに加え、新たなビジネスチャンス創出にも繋がるという意義を説明しました。一方で、留意点としてケアサービスが「女性の領域」とならないよう、男性の参画も必要である点を強調しました。
（６） 写真：世銀・財務省主催サイドイベントの様子
3. 第11回JICA-世界銀行グループ・ハイレベル対話に向けた意見交換
JICAと世界銀行グループは2014年以降、「ディープ・ダイブ（Deep Dive）」と呼ばれるハイレベル対話を毎年開催し、重点テーマの対話を通じ、本部と現場レベルでの連携促進に取り組んでいます。
今年（第11回）のDeep Diveでは、複合的危機下で特に重要な課題である「グローバルヘルス」、「民間セクターファイナンス」、「大洋州地域支援」、「食料安全保障を含むアフリカ支援」の4つのテーマについて、連携を強化していく方針です。
2025年3月12日、ワシントンDCを訪問中の宮崎副理事長が世界銀行のビアルディ専務理事と面談し、それぞれのテーマについて両機関が連携を鋭意促進していること、そしてこのような困難な時期だからこそ、世銀グループとJICAの協働が重要であることを確認しました。
両機関は、今後も様々なレベルで対話を継続し、連携強化を通じた開発インパクトの拡大に取り組んでいきます。
世銀ビアルディ専務理事（左）と宮崎副理事長（右）
【参考：CSW69について】
- CSW69は、2025年3月10日～21日に、ニューヨークの国連本部にて開催。
- 同委員会は、国連経済社会理事会の機能委員会として、政治・社会・経済等のあらゆる分野における女性の地位向上に関し、同理事会に対して提言・勧告等を行うもの。
- 加盟国、国連機関および認定NGOが参加する年次会合が毎年開催。
（写真）CSW69議場の様子
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