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~犯罪捜査は国境を超えて~JICA・INTERPOL連携研修が、金融犯罪の検挙に繋がりました!

掲載日:2025.04.30

イベント |

研修の概要

近年急速に被害が拡大している、詐欺などを中心とした金融犯罪。インターネットの普及やAIの発達、国際的な送金システムの発達により、金融犯罪が1か国内にとどまらず、世界中に急拡大しています。犯人は今や、世界中のどこからでも簡単に私たちに近寄り騙そうとすることができるのです。

国際協力機構(JICA)は、国際刑事警察機構(ICPO-INTERPOL、以下、INTERPOL)、日本の警察庁と連携し、ナイジェリア・ホンジュラス・グアテマラの3か国を対象に金融犯罪・マネーロンダリングなどの違法行為に対する捜査能力向上を目的として、現地研修を実施しています。

今回、対象国の一つであるナイジェリア警察と日本警察が共同で捜査し、ナイジェリアに拠点を置く詐欺グループが検挙されました。本研修を通じて、各国の法執行機関がINTERPOLから国際基準の犯罪捜査の知見を得ただけでなく、日本・INTERPOL・各国間の捜査ネットワークが構築されています。今回の検挙においても、日本警察とナイジェリア警察間の捜査網が活用され、ロマンス詐欺にあった被害者が送金したお金のルートを追跡し、容疑者の特定に繋がりました。

ナイジェリアでの研修の様子

本研修プログラムでは、2024-2025年の2年間で基礎・上級・トレーナー育成・ハイレベル会合の4ステップの研修を行います。ナイジェリアではトレーナー育成研修まで実施しました。

2024年7月~8月に行われた基礎研修では、ナイジェリア中の法執行機関から計36名の捜査官が集まりました。参加者は、4日間の研修を通して、マネーロンダリングと金融犯罪に関する基礎知識から証拠の収集・捜査方法まで幅広く学びました。また、事例を用いた実習が行われ、参加者は講義で得た知識を適用しながら、国境を越えた捜査方法を身に付けました。

2025年2月に行われた上級・トレーナー育成研修では、より実務経験のある警視・警部級の捜査官たち21名が集まり、内15名がトレーナー育成研修へ進み、厳しい審査を通過した11名がINTERPOL公認インストラクターとして認定されました。

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ナイジェリア研修の様子 

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ナイジェリア研修での集合

また、ナイジェリアの研修には日本警察庁から講師を派遣いただき、日本のサイバー犯罪とその捜査方法についての講義を実施しました。それだけでなく、ナイジェリア国家サイバー犯罪センター(NCCC)の訪問を通して、ナイジェリアのサイバー犯罪対策の現状についても相互に認識を深めてきました。

日本でも実務的な議論が進められました。ナイジェリア警察・NCCCは、2024年9月に警察庁が主催した国際詐欺会議にも参加しました。同会議では、ナイジェリアからも最新の取組状況が共有され、日本・ナイジェリア間の連携強化はもちろん、他国とのネットワーク構築が進められています。

より安全な世界を目指して

今や世界中に潜む金融犯罪の危機。一国の能力強化だけでは追い付かず、世界中の捜査ネットワークの強化が今後さらに重要となります。JICAは、世界中に連携網を張り巡らすINTERPOLと協力し、人々がより安心して暮らせる安全な社会の実現に向け、複数か国を対象とした広域展開も視野に入れながら、金融犯罪対策強化を実施していきます。