JICA、GPAI東京イノベーションワークショップを後援 — グローバルサウスの現場からAIの課題と希望が集結
掲載日:2025.06.17
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国際協力機構(JICA)は、2025年5月28日・29日に東京で開催されたGPAI東京イノベーションワークショップに後援団体として協力しました。本ワークショップは、GPAI(Global Partnership on Artificial Intelligence)とOECDの連携のもと、40カ国から約140名の専門家が参加し、生成AIを含む先端技術の国際的ガバナンスについて議論が交わされました。
JICAは、主催者である国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携し、「グローバルサウスにおけるAIの利活用とエコシステムの強化」をテーマの一つとして設け、アジア・中東・アフリカ地域から大学教授・政府高官などのAI専門家を招きました。そのうえで、山中敦之国際協力専門員がモデレーターとして、山田智之STI/DX室長と長野悠志JICA DXLab長が参加者として、様々な国々の専門家から現地の課題や取組みを引き出すことに努めました。議論を通じて、グローバルサウスでは計算資源の未整備・データの不在・AI人材の不足といった共通の課題があることを再確認したうえで、現地の事情に即した豊かな取組みや研究が各国で展開されていること、但しそれらが専門家の間で必ずしも共有されていないことが明らかとなりました。そのため、ワークショップの結果として、各開発途上国におけるAIの取組みを集約して学び合うプラットフォーム(仮称: “AI Living Lab”)を作り、そのうえでグローバルサウス同士や先進国との間での実践的なAI分野での連携を図ることが提言されました。
ワークショップでは、以下のような参加者の声が寄せられました。
「中南米が抱えるAI課題は、他地域と驚くほど共通していました。多様な価値観のもと、それぞれ異なるアプローチで解決を図っている点が印象的でした。」 — 南米の研究機関 参加者
「異なる国や地域の専門家と対話することで、ローカルな視点から見たAIの課題や可能性について、これまでにない気づきを得られました。」 — アジアAI政府機関 参加者
「インドの農村部では、農家向けのモバイルAIリテラシープログラムが導入されており、デジタル技術の民主化の好事例だと感じました。」 — アフリカ政府機関 参加者
JICAは今後も、グローバルサウスの声が国際的なAI政策形成の場で尊重され、多様なステークホルダーの連携が強化されるよう、国際対話の促進を図ります。合わせて、開発途上国における経済社会の発展に資する具体的なAIに関する取組みを推進するために、AI分野の戦略策定・実施、競争力向上(人材育成・開発研究・ユースケース推進)、AIガバナンス・安全性(制度設計・サイバーセキュリティ・リテラシー向上)、AIインフラ・データ整備を支援していきます。
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